未成年でもお金は借りられる?
法律的な問題点・借りる方法・そもそも借りることはできるのか?等について解説していきたいと思います。
未成年とは?
未成年とは文字通り成年に達していない人のことを言います。
一般的には20歳未満の人のことを指す言葉ですが、法律上ですと解釈が以下の通り異なっています。
現行民法 | 年齢20歳をもって成年とする。 |
改正民法 (2022年4月1日~) |
年齢18歳をもって成年とする。 |
未成年者飲酒禁止法 | 現行)満20年に至らない者 2022年4月1日~)20歳未満の者 |
公職選挙法 | 日本国民で年齢満18年以上の者は、衆議院議員及び参議院議員の選挙権を有する。 |
現行の民法では、年齢が20歳に満たない人のことを「未成年」と定義しています。
20歳から18歳に引き下げられる理由としては、少子高齢化の影響によって若者世代の割合が減ってしまったことが挙げられます。
日本国憲法15条第3項では「公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。」と規定されており、具体的年齢については公職選挙法で定められております。
若者の投票率が下がり続ける昨今に於いて、10~30代の比率を高めたいという狙いがあるようです。
未成年は「制限行為能力者」
制限行為能力者とは、文字通り法律行為を制限されている人のことを言います。
- 民法上の制限行為能力者
-
- 未成年者
- 成年被後見人
- 被保佐人
- 第17条第1項の審判を受けた被補助人
1は、文字通り20歳に満たない人(2022年4月1日以降は18歳に満たない人)のことを指し、2~4の人は何らかの理由により自身で判断が出来なくなってしまった人のことを指します。(昏睡状態や認知症など)
制限行為能力者の人は原則として単独で法律行為(売買や贈与など)が出来なくなり、保護者や後見人といった特定の人が当該行為を認めなければなりません。
YouTuberや若年での起業などで10代でも稼ぐ人が多い時代となりましたが、お金を借りるという行為は法律行為(金銭消費貸借契約)に当たりますからいくら収入が多くとも親の同意が無ければお金を借りることはできないのです。
基本的に未成年者はNG
裏を返せば「収入」「親の同意」をクリアできれば借りられる?とも考えられますが、原則として20歳未満の方は大手消費者金融を利用することができません。
なぜならば、未成年者は心身共に未熟であることを理由に金融機関側が規約で利用を禁止しているためです。
なおクレジットカードであれば未成年でも作れる可能性がありますが、ある程度の収入が無ければキャッシング機能を付けることが出来ません。
そのため、どうしても現金が必要な場合はクレジットカード現金化等の手段を用いるしか手が無いのですが、こちらはクレジットカードの規約違反に当たりますので利用は避けましょう。
学生なら「学生ローン」という手も
未成年であっても、大学に在学中であれば学生ローンを利用できる可能性があります。
こちらは文字通り学生向けのローン商品で借入限度額が低く、金利が高めに設定されているのが特徴です。
ただし、以前は「学生」というだけで貸付けてくれた金融会社も多かったようですが、現在は総量規制の影響により収入が無ければ利用することができません。
年齢制限はクリアできますが、一定の収入が必要である点には注意が必要です。
主婦・高齢者について
前述した通り、未成年はお金を借りることに対して制限が設けられています。
それでは、収入が無い「主婦」や、収入が年金のみの「高齢者」はどのように審査されるのでしょうか。
主婦・高齢者の方がお金を借りる際の注意点や制限についてまとめました。
専業主婦は借入が制限される
繰り返しお伝えしてきた通り、消費者金融は貸金業法の規制によって年収の3分の1を超える貸し付けができません。
そのため、配偶者貸付又は銀行系ローンを利用する必要があります。(※関連記事:配偶者貸付という制度)
銀行は、銀行法の規制に基づいて貸し付け業務を行っておりますので、そもそも収入に対する上限が無く収入がゼロでも審査に通る可能性があります。
ただし、収入が無い場合は保証人や担保を求められる可能性が高く、返済計画についてもしっかりとすり合わせなくてはなりません。
年金は収入として見られない
また、収入が年金のみの高齢者の方も借り入れが制限されます。
年金は法令上「雑所得」に当たりますので立派な収入であると言えるのですが、借入時に於いては“生活するための必要最小限のお金”と見られてしまいます。
そのため、年金分は収入として除外されてしまい、他の収入が無い限りは無収入と同義になってしまうのです。
そこで、最近では家を担保にお金を借りる「不動産担保ローン」や「リバースモーゲージ」といった形でお金を借りる高齢者が増えています。
これらは都度返済するのではなく、死亡時に担保に入れた不動産を売却することで、借りたお金を返済する方式を採ることが出来るためです。
なお、本来相続されるはずの不動産を失うことになりますので推定相続人(配偶者や子供など)にあらかじめ同意を得る必要があります。
事前にご家族に相談した上で利用を検討するようにしてください。
監修者情報
木村 秀幸
ファイナンシャルプランナー2級・宅地建物取引士・行政書士・商簿記2級保持者。士業系事務所勤務の経験を活かし、数多くの金融系サイトの監修・執筆を手掛けた実績を持つ。
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