公的融資と私的融資の審査の違い
求められる基準・書類・特に重要視されるポイントについて確認していきましょう。
両者の違いをおさらい
まずは公的融資と、銀行の個人向けフリーローン利用条件の違いについて改めて確認していきましょう。
利用者 | 使途 | |
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公的融資 |
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フリーローン |
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まず、公的資金の筆頭である「日本政策金融公庫」では使途が事業用資金に限定されており生活費や趣味・レジャーを目的とした借り入れができません。
生活する上で必要な費用を借りたい場合は、社会的な弱者を救済することを目的とした公的融資(母子福祉資金や年金担保)を利用する必要がありますが、使途が厳格に定められており、柔軟性は低いと言えます。
一方で銀行や消費者金融は使途が限定されておりません(※目的別ローンを除く)ので、比較的自由に利用することができ、プライベート・ビジネス双方での利用も可能です。
審査されるポイント
著しく有利な条件での貸付けは他の国民との不平等を招きますので、お金を貸すことに対して正当性が認められなければなりません。
具体的には、公的融資と民間融資では以下の通り審査項目に違いがあります。
審査項目 | 公的融資 | 民間融資 |
---|---|---|
返済能力 | 重要視される | 重要視される |
将来性 | 重要視される | 重要視されない |
資産状況 | 重要視されない | 重要視される |
属性 | 性別・年齢・状況を重要視 | 勤務先を重要視 |
借入状況 | 重要視されない | 総量規制がある場合は重要視 |
前述した通り、公的融資は「支援」という目的がありますので、現在の資産状況(返済能力)よりも借入する人や企業の将来性を重視しています。
一方で、銀行や消費者金融は完全に「ビジネスでの貸借」になりますので、賃借人の将来性よりも現在の資産状況や返済能力を重視します。
そのため、銀行・消費者金融は赤字経営や完全なる新規事業の場合ですと非常に審査が厳しくなり、門前払いにされてしまうことも珍しくありません。
さらに、公的融資は国民の生活向上を目的・趣旨にしているものの、民間金融機関との金利があまりにもかけ離れてしまうと民間企業を利用する人がいなくなってしまいますので、公民のバランスも重要視されます。
難易度はどちらが高い?
残念ながら「どちらが厳しい」とは一概には言えません。
なぜならば、利用者が個人なのか法人(企業)なのか、借りようとする方の属性、資産状況によって利用の難易度は大きく異なり、ケースによってマッチする借入方法が変化するためです。
しかしながら、公的融資は法令を根拠に貸し出しを行っておりますので、民間の金融機関に比べて柔軟性が低く、審査が厳格であることは間違いありません。
さらに、民間金融機関に比べて限度額や金利が優遇されておりますので、ライバルが多く審査も厳しくなりがちです。(財源には限りがあるため)
また、綿密に事業計画を立てた上で同計画を事業計画書へ興さなければなりませんので、高い専門知識又は専門家の介入が必要となります。
これらの理由を鑑みますと、初めてお金を借りる方にとっては公的融資の方が敷居は高いと考えます。
個人利用なら民間融資
公的融資の場合は売上や資産状況よりも「お金を貸すことでその事業がいかに発展するか」がより重点的に審査されます。
一方で、民間融資の場合はその人の属性や資産状況等が重要視されますので、個人利用の場合は圧倒的に民間金融機関の方が敷居は低いです。
さらに、公的融資は審査に非常に時間が掛かり、場合によっては数か月の審査期間を要することも珍しくありませんので、数百~数千万円の借入でもない限りは銀行・消費者金融を選択するのがベターでしょう。
また、低所得・高齢者・障害者・失業等の理由で十分な収入が得られない場合、各自治体で支援を受けられる可能性があります。
これらの制度も是非上手に活用してみてはいかがでしょうか。
しかしながら、事業の資金繰りとしての利用であれば好条件を勝ち取れる可能性があるため、まとまった資金が必要な企業様は是非チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
監修者情報
木村 秀幸
ファイナンシャルプランナー2級・宅地建物取引士・行政書士・商簿記2級保持者。士業系事務所勤務の経験を活かし、数多くの金融系サイトの監修・執筆を手掛けた実績を持つ。
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