銀行借入の特徴と
メリットやデメリットについて
個人でお金を借りるとなった時、真っ先に思い浮かべるのは「銀行から借りる」「カードローンを利用する」等ではないでしょうか。
消費者金融に比べると銀行カードローンはどうしても「審査が厳しそう」「融資までに時間がかかりそう」といったイメージが先行し、その実態を正確に把握できていない方も多いかと思います。
こちらのページでは、銀行カードローンの特徴や、利用するメリット・デメリットについて解説いたします。
消費者金融と銀行カードローンの違い

お金を借りることができる、という点で消費者金融と銀行カードローンは共通しています。
しかしながら、条件をはじめ、根拠法律・審査方法・振り込みまでの時間など、銀行カードローンと消費者金融における違いは多岐にわたります。
両者の違いをまずは把握し、比較した上でどちらを利用するかを決めましょう。
適用される法律と総量規制の有無
まず、根本的な違いとして消費者金融と銀行では「存在の根拠や適用される法律が異なる」という点が挙げられます。
消費者金融は貸金業法、銀行カードローンは銀行法で貸し出し等に関するルールが定められており、両者は共に金融庁が監督しています。
特に大きな違いは総量規制による貸付金額の上限の違いでしょう。
貸金業法には総量規制が設けられており、「年収の1/3までしか貸付をしてはいけない」という制限がありますが、銀行法にはこのような規制はなく、金融機関の裁量でいくらでも貸付が可能です。
サービス内容
具体的な金利、審査に要する時間等については以下の通り違いがあります。
消費者金融 | 銀行 カードローン |
|
---|---|---|
金利 | 3~20% | 2~18% |
総量規制 | 受ける | 受けない |
収入証明 | 必要 | 状況に応じて 判断 |
審査時間 | 最短30分 | 2~10日 |
特筆すべき点は、銀行カードローンの方が若干金利は低い代わりに、審査に時間を要するという点でしょう。
また、前述した通り消費者金融は総量規制の影響を受けるため年収の1/3が借入額の上限となりますが、銀行カードローンは年収に対する上限がありません。
年収に応じた限度額の設定をしなくてはならない影響で、消費者金融では収入証明書の提出も必須です。
以上のことから、時間的な余裕があれば条件の優れている銀行カードローン、スピード重視なら消費者金融といった形で使い分けるのが良いでしょう。
審査
両者は審査のスピードに違いがありますが、それにも理由があります。
消費者金融は、利用者の年収に関係なく初回の借入額を低めに抑え、利用状況や返済状況(つまり実績を積むこと)に応じて利用可能額を小分けに増加させる方式を採っています。
一方で、銀行カードローンは設定した借入可能額に関係なく審査内容は一律で、厳格な審査を行います。
その具体的な審査内容については公表されておりませんが、消費者金融よりも銀行カードローンの方が利用の難易度は高いと言えるでしょう。
銀行カードローンの審査と必要書類

銀行カードローンでどのような審査が行われているのか、その具体的な内容については非公表となっており明言はできません。
まずは申込基準から確認しておきましょう。
申込基準 | |
---|---|
三菱UFJ銀行 | 年齢が満20歳以上65歳未満の国内に居住する個人のお客さまで、 保証会社(アコム(株))の保証を受けられる方 |
原則安定した収入がある方 | |
みずほ銀行 | 契約時、満20歳以上満66歳未満の方 |
安定かつ継続した収入の見込める方 | |
保証会社の保証を受けられる方 | |
三井住友銀行 | 満20歳以上、満69歳以下の方 |
原則安定した収入がある方 | |
保証会社の保証を受けられる方 | |
ご使用用途が事業性資金以外の方 |
各行共に「年齢上限」が異なる点に注意が必要です。
「安定な収入」について具体的な金額は公表されておりませんが、正規雇用であることや勤続年数が多いこと、勤務先の安定性を考慮した上で総合的に判断されるものと思われます。
なお、同様に「借入限度額」についても具体的な明記はありませんが、総量規制を考慮して年収の1/3程度を目安にしていると解されています。(いわゆる自主規制の一つでもあります。)
審査に必要となる書類
基本的には以下の2点、もしくは3点の書類提出を求められます。
- 本人確認書類
- 年収を証明できる書類
- 住民税決定通知書又は納税証明書(※個人事業主の場合のみ)
本人確認書類とは、運転免許証やパスポートなど公的身分証のことを指します。
顔写真付きのものであれば1点で足りますが、健康保険証・住民基本台帳カード等の顔写真が付いていない場合は別途公共料金の領収書や請求書が求められます。
年収を証明できる書類は「源泉徴収票」「給与の支払明細」「確定申告書」「納税通知書」「青色申告決算書」などです。
前述した通り、銀行カードローンは年収に応じた貸出限度額を設定する必要が本来なく、年収を確認する義務も銀行側にはありません。
しかし、年収は利用者の経済的な状況を測る重要なバロメーターであり、貸付をして大丈夫な相手かどうかを判断する意味合いで独自に確認をするのが一般的となっています。
収入証明書で最も一般的なのは「源泉徴収票」ですが、多くの方は年末から年始にかけて勤務先から受け取っているかと思います。
万が一紛失してしまった・別の手続き(確定申告など)で利用してしまった等で手元にない場合には、勤務先に再発行してもらいましょう。(※既に退職しているなどで再発行が難しい場合には「納税証明書」「課税通知書」等も収入の証明書として認められます。)
銀行の種類とそれぞれの違い

銀行にも様々な種類があり、それぞれで規模や提供しているカードローンのサービス内容も異なります。
経営規模が大きい銀行ほど、資金的体力もある関係から金利が安くなりそうに思えますが、実際はどうなっているのでしょうか。
それぞれの違いについて確認し、ご自身に合う銀行を選びましょう。
都市銀行(メガバンク)とは

都市銀行(メガバンク)とは、東京や大阪などの都市部を中心に展開されている銀行のことを指し、現在はみずほ銀行・三菱UFJ銀行・三井住友銀行・りそな銀行・埼玉りそな銀行が該当します。(※りそなグループを含めない3行をメガバンクと定義することもあります。)
中でもみずほ銀行は47都道府県全てに店舗があり、全国どこにいても利用できるという利便性があります。
なお、国内シェアについては三菱UFJ銀行が全国29都道府県に421支店を展開し、1位となっています。(2023年3月時点)
地方銀行とは

地方銀行とは、都市銀行ほどの規模を持たない都道府県又は地域(関東・関西など)単位で営業活動を行う銀行のことです。(ただし、明確な定義はありません。)
地方銀行は原則として全国地方銀行協会や第二地方銀行協会に加入しておりますので、こちらで加盟銀行をご覧いただいたくのが最も分かりやすいでしょう。
「東京都や大阪府にあるから都市銀行・それ以外の都市の銀行が地方銀行」という訳ではありませんのでご注意ください。
信用金庫とは

信用金庫とは「国民大衆のために金融の円滑を図りその貯蓄の増強に資すること」を目的とし、信用金庫法に基づいて設立・運営されている法人です。
銀行が基本的に株式会社であるのに対し、信用金庫は会員とともに地域発展を図る相互扶助を目的とした共同組織であり、利益第一主義ではない、という点が特徴です。
組合員(会員)の出資によって構成される団体であるため、融資対象は会員が中心となりますが非会員でも制限付きで貸し出しを行っています。
ネットバンクとは

ネットバンクとは、窓口・店舗・独自のATMを持たない、ネット上に存在する現代ならではの銀行を指します。
従来店舗運営に必須であった人件費・地代家賃・光熱費・管理費等を削減できる分、手数料や金利が低く、預金金利が高いという特徴があります。
日本では楽天銀行・住信SBIネット銀行・ソニー銀行等が有名です。
それぞれのカードローンにおける違い
それぞれで用意しているカードローンのサービス内容にも、若干の違いがあるので確認しておきましょう。
メガバンク (三井住友銀行) |
地方銀行 (横浜銀行) |
信用金庫 (西武信用金庫) |
ネットバンク (住信SBI) |
|
---|---|---|---|---|
年利 | 1.5~14.5% | 1.5~14.6% | 5.8~14.6% | 1.99~14.79% |
借入限度額 | 10~800万円 | 10~1,000万円 | 10~50万円 | 10~1,200万円 |
審査期間 | 7~14日 | 10日前後 | 10日前後 | 即日~3日 |
特徴をまとめると、
- 金利は信用金庫を除いて大差はない
- 意外にも地方銀行やネットバンクの方がメガバンクよりも限度額が高い
- 信用金庫は会員への融資が優先されるため、限度額が低い
といったところでしょう。
同じメガバンクでもみずほ銀行で2%~、三菱UFJで1.8%~と下限の金利に違いがあります。
借入する金額に応じて変動するので、ご自身の利用額に適した銀行を選びましょう。
銀行の自主規制と業界の動向
2010年に貸金業法が改正されたことにより、消費者金融においては年収の1/3を超える貸付が禁止され、収入証明書の提出の義務化などが追加されました。
これを機に、銀行はより多くの顧客を獲得すべく「即日融資」「低金利」「〇〇万円までOK」などの謳い文句でCMやインターネット広告を打ち出し、当然のようにそこに顧客は食いつく形になりました。
そして、総量規制の影響を受けない銀行カードローンで顧客はまた多額の借入をし、結果的に規制が形骸化していってしまったのです。
過剰融資に対する批判
過剰融資を抑えるための規制が形骸化している状況に対する批判は高まり、日本弁護士連合会はこの現状の改善を求めるべく「銀行等による過剰貸付の防止を求める意見書」を内閣及び銀行協会へ提出しました。
同意見書がきっかけとなり、加熱していた銀行カードローンへの集客は、各銀行の自主規制という形で収束していく流れとなりました。
一般社団法人全国銀行協会が平成29年6月に発表した「銀行カードローンに関する全銀協の取組みについて」を発表しました。
同資料には、以下の取り組みがなされることが記載されています。
- 配慮に欠けた広告・宣伝の抑制
- 健全な消費者金融市場の形成に向けた審査態勢等の整備
過剰な表現を用いて利用を煽るような広告をやめ、規制はないものの年収に応じた限度額を設定すること。そして原則として即日融資を禁止することなどを銀行側が自主的に決めたのです。
その結果、一時急速に落ち込んだ消費者金融の利用者数も現在では戻りつつあります。
銀行と保証会社の関係

銀行カードローンの契約時には、銀行独自の審査とは別に保証会社による審査も行われます。
保証会社とは、ローンを契約した人が何かしらの理由で返済できなかった場合、その人の代わりにお金を返す(代位弁済する)会社のことをいいます。
銀行カードローンを契約する際は銀行との間で金銭消費貸借契約を結び、並行して保証会社との間で保証契約を締結することとなります。
保証会社を介する理由
銀行が保証会社を介したローン契約を前提としているのには理由があります。
万が一債務不履行があったとしても回収し損ねる心配がなくなるから、というのももちろんですが、顧客の信用情報への照会にも関係があります。
銀行は、割賦販売法に基づく指定信用情報機関(日本信用情報機構やCIC等)に対し、利用者の信用情報を照会することができません。
代わりに「全国銀行個人信用情報センター(KSC)」に登録された信用情報を確認することができますが、日本情報機構(JICC)やCICとは記載事項が以下の通り異なります。
全銀協 (KSC) |
日本信用情報機構 (JICC) |
シー・アイ・シー (CIC) |
|
---|---|---|---|
属性・申込情報等 | 記載される(共通事項) | ||
事故情報 | 5年記載 | 1年記載 | 5年記載 |
任意整理 | 記載せず | 5年記載 | 記載せず |
個人再生 | 10年記載 | 記載せず | 記載せず |
自己破産 | 10年記載 | 5年記載 | 5年記載 |
例えば、支払いの遅延等(所謂「カード事故」)があった場合、JICCですと完済から1年間のみ同情報が記載されますが、KSCやCICでは5年間記載されます。
また、任意整理や個人再生など、信用情報機関によっては記載されない事項も存在しており、全てを網羅するためには全ての信用情報を取得せねばなりません。
保証会社と提携することで、銀行はこれらの情報を間接的に知ることが出来るようになり、より厳格な審査をすることが可能となるのです。
主要銀行と提携している保証会社
主要の銀行カードローンは、以下の保証会社と提携しています。
銀行名 | 保証会社 |
---|---|
三菱UFJ銀行 | アコム株式会社 |
ソニー銀行 | |
じぶん銀行 | |
セブン銀行 | |
みずほ銀行 | オリエント コーポレーション |
三井住友銀行 | SMBCコンシューマー ファイナンス |
住信SBIネット銀行 | |
りそな銀行 | オリックス・クレジット 株式会社 |
オリックス銀行 | |
東京スター銀行 | 東京スター・ビジネス・ ファイナンス またはアイフル株式会社 |
楽天銀行 | SMBCファイナンス サービス株式会社 |
保証会社は自社の子会社である場合が多いですが、最近ではグループ外の専門機関に依頼するところも増えています。
カードローンの申込の際に注意したいのが、同じ保証会社となっている銀行に同時に申し込むのは避けるべき、という点です。
上記の表を見ますと、例えば「アコム株式会社」は三菱UFJ銀行をはじめ、ソニー銀行やじぶん銀行といった複数の銀行の保証業務を担っていることが分かります。
仮に信用情報に傷が無くとも、複数同時にカードローンの申込をしていることが分かれば、警戒されてしまいます。
決して良い印象を持たれることはないので、同じ保証会社と提携している銀行カードローンへの同時申込はしないようにしましょう。
銀行と銀行系の違い

ここまで銀行カードローンの様々な面について解説してきましたが、それと似たもので「銀行系カードローン」というワードを耳にしたことはないでしょうか?
銀行カードローンと銀行系カードローン、これらは同じものだと認識している方も多いかと思いますが、実は両者は別物です。
両者の違いについても、正しく把握しておきましょう。
銀行系カードローンとは
ここまで解説してきた「銀行カードローン」とは、その名の通り銀行が直接運営しているローンの事を指します。
対して、銀行系カードローンとは銀行のお金を資本とした会社が運営しているローンのことです。
つまり、運営母体が銀行かそれ以外の会社かという点で異なるのです。
「銀行系」と呼ばれるようになったのは、総量規制による消費者金融の衰退により、その多くが銀行資本の傘下に入ったことに由来します。
実際、大手消費者金融はそれぞれ以下のグループに属しています。
消費者金融名 | 親となるグループ または運営会社 |
---|---|
アコム | 三菱UFJ フィナンシャル・グループ |
プロミス | SMBCグループ (SMBCコンシューマー ファイナンス) |
SMBCモビット | 三井住友カード株式会社 |
レイク | 新生銀行 (新生ファイナンス) |
以上のことから言えることは、銀行系カードローンはつまるところ消費者金融であり、貸金業法に則った総量規制の対象となります。
なお、大手消費者金融の中ではアイフルのみ、銀行系資本が入っていません。
銀行カードローンに関するまとめ
銀行カードローンについて、主に消費者金融との違いを中心に解説してきました。
基本的には消費者金融と比べて金利は低く設定されている分、審査は厳しく時間を要すると考えてよいでしょう。
時間的な余裕がない場合は消費者金融の方が適していますが、審査のハードルが問題ないのであれば、銀行カードローンの方が負担は少ないので優れています。
ご自身の状況に合わせて、適した借入先を探す参考にしてみてください。