クレジットカードを使った
借入や現金化

クレジットカードは、現金を使わずにあらゆる場面で買い物ができる便利なアイテムです。
本来はお金を借りることを目的に作られたものではありませんが、多くのクレジットカードにはキャッシング機能が備わっており、少額であればお金を借りることもできます。
当ページでは、消費者金融からお金を借りることとクレジットカードの違い、以前から問題になっている「クレジットカード現金化」について、詳しく解説します。

クレジットカードのキャッシング

クレジットカードのキャッシング機能

基本的に、クレジットカードはショッピング時に使われるものであって、キャッシング枠はあくまでもおまけの機能です。
クレジットカードの総枠(ショッピング枠)に対し、希望に応じて一部キャッシング枠が追加される、という認識で良いでしょう。(実際、カード名義人である本人が希望しなければ、キャッシング機能は付きません)
それでは、クレジットカードを通じたキャッシングについて、消費者金融からの借入と具体的に異なるところがあるのか、実際に見てまいります。

ショッピング枠とキャッシング枠

文字通り、ショッピング枠は買い物やサービスを受ける際の支払いに利用できる限度額を、キャッシング枠は借入可能な金額の上限を表しています。
同じクレジットカードであるにも拘わらず、何故両者を別物として考えなければならないのでしょうか。
それは、代金の立て替えとお金を借りる行為とでは、適用される法律が異なるためです。
具体的には、キャッシングはシンプルな借入となんら変わりない以上、貸金業法が適用され総量規制の対象となります。(年収の1/3以上の借入はできない)

それに対し、ショッピング枠の利用については買い物代金をカード会社がお店に対して立て替えているだけであり、貸付ではありません。
貸付ではない以上、貸金業法が適用されることもなく、総量規制の対象外です。
極端な話、年収を超えるような金額の利用も法律上は問題ないということになります。

消費者金融からの借入との比較

クレジットカードのキャッシングも、消費者金融と同じ借入であり総量規制の対象であるということがわかりましたが、両者はどの点で異なるのでしょうか。
結論から申し上げますと、大きな差はありません。
ただし、以下の通り希望をしてから借入可能になるまでのスピードにのみ大きな違いが見られ、金利面は消費者金融の方がわずかながらお得と言えます。

クレカ
キャッシング
消費者金融
審査
スピード
1週間程度 最短30分
金利 5.0~18.0%
(1回払い)
3.0~18.0%

なお、審査項目は消費者金融もクレジットカード会社も同じであるため、審査の厳しさに関しても「両者共に同等程度」と言われています。

クレジットカード現金化とは

クレジットカード現金化のリスク

クレジットカード現金化とは、クレジットカードのショッピング枠を使って換金性の高い商品を購入し、それを即座に買い取ってもらうことで現金を手に入れることです。

  • カードのキャッシング枠が限度額まで到達している
  • 消費者金融で借入ができない

こういった状況の方でもこの方法を使えば即日で現金を調達できます。
一見便利なこの現金調達法ですが、利用には大きなデメリットが伴います。
第一に、この一連の行為はクレジットカード会社が禁止しています。
つまり、規約違反によりカードの利用停止、そしてそれに伴う残債の一括返済を求められる可能性があるのです。

禁止されている理由

前述されている通り、クレジットカード現金化は規約で禁止されていますが、その理由はどこにあるのでしょうか。
実質的にキャッシングと変わらないクレジットカード現金化を許してしまうと、本来あるキャッシング枠を超えてお金を貸してしまうことと同義となってしまう、というのが一つの理由です。もちろん、借りる本人の破綻リスクも高まります。
そして、利用者が破綻した際の未回収リスクはクレジットカード現金化業者ではなく、クレジットカード会社が負うこととなります。
こういったリスクを避けるため、カード会社はクレジットカード現金化を厳しく監視しているのです。

セルフ現金化と業者を通じた現金化

セルフ現金化と業者を通じた現金化を比較

クレジットカード現金化は、それを専門に扱う業者を通じて行われるのが一般的ですが、業者を通さず自分自身の手で行うことも可能です。

セルフ現金化 業者利用
具体的な方法 商品券やブランド品、新幹線の回数券等を購入し、換金ショップへ持ち込む 業者指定の商品をクレジットカードで購入し、そのまま買い取ってもらう
メリット
  • 自分で商品を選べる
  • 悪徳業者利用の恐れが無い
  • カード会社にバレる可能性が低い
  • 商品不要のため速い
デメリット
  • カード会社にバレる可能性が高い
  • 現金化までに時間が掛かる
  • 換金率で損をする可能性がある
  • 悪徳業者が存在する

クレジットカード現金化業者は自社で販売した商品をそのまま買い取る又はキャッシュバックを支払うという形で利用者に現金を渡す関係上、その多くは表向きリサイクルショップや小売店等となっています。
そうすることにより、一見すると自社の商品を販売し買い取っただけという「言い訳」が成り立ち、警察の摘発やクレジットカード会社への発覚の回避を試みています。

一方で、セルフ現金化の場合は自身で売却用の商品を用意しなければなりませんので、業者利用に比べると手間がかかり、現金を得るまでの時間も掛かります。
さらに、高額換金商品の購入はクレジットカード会社に適宜チェックされていることもあり、短期間での複数購入は避けるなど細心の注意を払わなければなりません。

セルフ現金化の注意点

クレジットカード会社はどのような買い物をしたのかを随時チェックしているため、自身の手でクレジットカード現金化をする場合は換金する商品にも注意しなければなりません。
少しでも違和感があれば詳しく調べられ、現金化が発覚すれば前述した通り利用停止からの全額返済となってしまいます。
特に、換金率が高い「デパートの商品券(90~99%)」や「新幹線の回数券(95~98%)」などのカード購入は厳しく監視されており、まとまった金額分を購入すると確認の連絡が入ることもあります。

業者利用の注意点

クレジットカード現金化業者を利用した場合、購入→換金という手間を一本化できる上に、インターネット上での手続きのみで完結するためスピード面では優れています。
一方で、金額にもよりますが10~30%ほどの手数料が取られるので、実質的な利息に換算すると闇金レベルの暴利となり、大幅な損となります。
当然ながら、クレジットカード現金化を利用した翌月以降には、カード会社への返済が待っています。

闇金レベルの手数料を取られた上で翌月に返済が問題なくできるような余力があるのであれば、クレジットカード現金化を利用する必要はありません。
諸々のリスクを鑑み、セルフや業者利用を問わず、クレジットカード現金化は利用するべきではないでしょう。

クレジットカード現金化業者は闇金?

クレジットカード現金化を避ける理由

「利用者は現金が手に入り、現金化業者には手数料が入る」

一見WIN-WINの関係に見えますが、実際はそんなことはありません。法律上も限りなく黒に近いグレーと言えます。
利用者から手数料を割引いた上で現金を渡すという行為は、利子を先に引いてお金を渡す闇金業者の手口と酷似しています。
そして、現金化業者には利用分の金銭がクレジットカード会社から支払われるのが確実なのに対し、利用者が破綻した際の回収リスクだけクレジットカード会社が負うことになる、という点も問題視されています。

つまり現金化業者は、リスクだけをクレジットカード会社に押し付け、ノーリスクで設けているという構図になっているのです。
利用者がその後破綻しようがどうなろうが、そんなことは考えていません。
現状ははっきりとした法規制はなされてはいないものの、クレジットカード現金化が実質的な貸金業に当たるという見方をする風潮は強まってきています。

金利に直すとどのくらい?

リスクと構図以外にも大きな問題があります。それは実質的な金利に直したとき、クレジットカード現金化は闇金顔負けの暴利である、ということです。
仮に10万円のカード決済で8万円(手数料20%)にしたと仮定します。
翌月にはクレジットカード会社から10万円(厳密には分割やリボ払いにした場合、ここにさらにカード会社への利息が乗ります)の請求が来ますので、同期間を借入期間と考えると、

【20,000円÷30日で、1日当たりの金利が666円】
※年利に直すと666円×365日=243,090円
▶243,090円÷100,000円=2.4309(243%)

と、明らかに出資法の上限を超えた金利と同等ということになります。
直接クレジットカード現金化業者からお金を借りるわけではないものの、実質的には闇金に近いものと言っても過言ではありません。

関連記事:闇金・違法金融について

クレジットカード現金化の摘発事例

クレジットカード現金化業者と言えば、以前は「店舗型」と呼ばれるスタイルが大半でした。しかし、スマートフォンが普及したことに伴い、2010年頃からはインターネット上で取引を完結させる「WEB型」が一般的となりました。
店舗型とは異なりスマートフォンさえあれば「いつでも」「どこにいても」利用することが可能となり、利用者数は爆発的に増加したのです。
業者の数が増えたことにより悪徳業者の数も比例して増えていきました。そして実際にクレジットカード現金化業者が摘発される事例も出ています。

クレジットカードのショッピング枠を悪用した「現金化商法」の手口で、違法に金を貸し付けたとして、警視庁は27日、ネット関連会社「トラストオブファイブ」(東京都世田谷区)の社長(41)(世田谷区)ら男7人(29~41)を出資法違反(超高金利)容疑などで逮捕したと発表した。警視庁は同社が2018年3月~21年12月、同様の手口で全国の約5,900人に計約23億5,000万円を貸し付け、計約9億5,000万円の利息を違法に得たとみて調べている。

引用元:2022/6/27読売新聞オンラインより抜粋

この事例からもわかる通り、クレジットカード現金化は実質的な出資法違反の貸付と見なされている面があります。

クレジットカード現金化の利用は
避けるべき

銀行や大手消費者金融は、法令(銀行法や貸金業など)に基づいて運営されているので、コンプライアンスなどあらゆる面でクレジットカード現金化よりも安全性が高いと言えます。
たしかに限度額がもう残っていなかったり、審査に通らず借入ができなかったり等の事情がある場合、クレジットカード現金化に頼たくなる気持ちもわかります。
しかし、安易な気持ちで手を出すと、その先にはさらに苦しい返済に追われることになります。
実質的な金利は間違いなく高く、損をすることは確実ですので、利用は控えるようにしてください。