公的融資の目的と意義
銀行や消費者金融でお金を借りるのと公的融資ではどのような違いがあるのでしょうか。
まずは公的融資が生まれた背景や目的、存在意義等についてひも解いていきたいと思います。
公的融資の概要
公的融資のことを、別名「財政投融資」と言います。
これは財投債の発行で得た資金が財源に用いられているためで、補助金とは違って租税負担が無い上、利息を得ることができます。
“お金が必要な人は低金利でお金を借りることができる”
“国は財源(利息)が得られる”
と、正にWINWINの制度と言えるのです。
具体的には、民間では対応が困難な資金の供給やプロジェクト実施のための投融資活動を政府主導で行うもので、中小企業の資金調達の他、教育・医療など銀行や消費者金融では借入が難しいケースでも利用することが可能です。
国民の生活水準を向上させることはもちろん、日本経済の活性化も大きく貢献しており、租税負担の抑制・事業の効率的な実施・受益者負担の実現等の様々な狙いがあります。
明治時代には既に確立
日本では「財政融資資金」として、明治時代に公的融資制度が確立していました。
明治から戦後にかけては民間の金融機関が発展途上中でしたので、国が中心となって国民に貸付け業務を行っていたのです。
戦後、アメリカの占領下に置かれた時代では公的融資先が国及び地方公共団体に限定されておりましたが、国民生活が落ち着くと共に一般企業への貸し付けも徐々に増えていきました。
昭和26年には「資金運用部資金法」が制定されたことで財政融資金の基礎(財源・運用・積立等)が築かれ、近年も同法をベースにした運用が踏襲されています。
補助金との違い
補助金は税金から賄われるのに対し、財政投融資は市場から財源を調達している点が大きく異なります。
また、補助金はお金の流れが一方通行なのに対して財政投融資は最終的には金利が融資元へと流れる点も大きな違いです。
さらに、国民が借り入れたお金は事業資金としても活用されますので、国民救済という観点のみならず経済や自国の発展も狙えます。
- 補助金は「直接的な救済措置」
- 財政投融資は「救済措置+経済発展+収益確保」
と言えば分かりやすいでしょう。
融資の対象は様々
公的融資は事業用としても利用することも可能です。
例えば日本政策金融公庫では個人向けのプラン(レジャーや趣味等を目的とした利用)は無く、事業を営む法人やフリーランスの方が対象になるものがほとんどです。(これから始めようと考えている等のケースも融資対象)
なお、銀行とは違って融資時に必ずしも黒字経営である必要はないのですが、お金を貸すことで自国(自地方公共団体)の利益にならねばなりませんので、利用の際には綿密な事情計画が必要となります。
収入が低い方向けの融資も
公的融資には、社会的弱者の救済という目的も含まれています。
日本政策金融公庫の「女性・若者・シニア起業家支援資金」は、文字通り女性又は若者(35歳未満)、シニア世代(55歳以上)の方が新たに事業を始める際に利用できる融資です。
こちらは、借入限度額は最大7,200万円・借入期間は最長20年となっており、希望する融資を受けられればビジネスチャンスが広がることは間違いないでしょう。
“ビジネスのアイディアはあるけど軍資金がない…”
といったシーンでお勧めの公的融資です。
自治体によっては支援制度も有
日本では、憲法によって「必要最低限度の生活」が保障されています。
そのため、何らかの理由で働けない又は働けなくなってしまった方に対して支援を行うのも国や地方公共団体の大きな役割です。
「急に仕事をクビになってしまった…」
「怪我や病気により一時的に働けない」
といったようなケースであれば、各自治体で融資支援を受けられる可能性があります。
低金利である上にまとまった金額の融資が受けられますので、要件を満たすのであれば積極的に活用することをお勧めいたします。
監修者情報
木村 秀幸
ファイナンシャルプランナー2級・宅地建物取引士・行政書士・商簿記2級保持者。士業系事務所勤務の経験を活かし、数多くの金融系サイトの監修・執筆を手掛けた実績を持つ。
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