事業者向け公的融資

悩ましそうに肘をつく女性
銀行から融資が下りなかった…
そんな時は公的融資を検討してみてはいかがでしょうか。
事業者向けの公的融資制度についてまとめましたので、是非ご参考ください。

事業資金を融資している機関

公的融資を行う3機関のロゴ

主に国や地方公共団体が実施する公的融資ですが、日本政策金融公庫・日本商工会議所・全国信用保証協会連合会などの法律で認められた機関が「事業資金の融資」を行っている例もあります。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は、日本経済の成長や発展・地域活性化への貢献・セーフティーネットとしての役割を担うために設立された機関で、事業者向け公的融資の筆頭とも言える存在です。
社会的弱者となりやすい女性・高齢者・若者が利用しやすいのも特徴的で、“ビジネスのアイディアはあるけど始めるためのお金(創業資金)が無い…”という方にマッチします。

日本商工会議所

日本商工会議所は地域総合経済団体ではあるものの、商工業者の代表となって国や関係行政に意見・要望を出しており、公的な側面が強い機関です。
「マル経融資(小規模事業者経営改善資金融資制度)」と呼ばれる独自の貸付制度を設けており、会員は同制度にて融資を受けることができます。

全国信用保証協会連合会

全国信用保証協会連合会は、全国の保証協会を会員とする機関です。
主な活動は文字通り“保証業務”ですが、同団体では中小企業の活動支援も運営目的としているため、支援の一環として一般企業向けの貸付業務も行っています。
もちろん、保証業務も行っておりますので保証人が用意できないケースなどでのバックアップ機関としての役割も果たしています。

各機関の制度一覧

日本政策金融公庫・日本商工会議所・全国信用保証協会連合会の制度と限度額、融資期間等の目安をまとめましたので、是非ご参考ください。

日本政策金融公庫
制度名称 融資限度額 融資期間
一般貸付 4,800万円 7~20年
経営環境変化対応資金 4,800万円 8~15年
金融環境変化対応資金 4,000万円 8~15年
取引企業倒産対応資金 3,000万円 ~8年
新規開業資金 7,200万円 7~20年
女性、若者/シニア起業家支援資金 7,200万円 7~20年
再チャレンジ支援融資 7,200万円 7~20年
新事業活動促進資金 7,200万円 7~20年
中小企業経営力強化資金 7,200万円 7~20年
企業活力強化資金 7,200万円 7~20年
IT活用促進資金 7,200万円 7~20年
海外展開・事業再編資金 7,200万円 7~20年
地域活性化・雇用促進資金 7,200万円 7~20年
ソーシャルビジネス支援資金 7,200万円 7~20年
事業承継・集約・活性化支援資金 7,200万円 7~20年
観光産業等生産性向上資金 7,200万円 7~20年
働き方改革推進支援資金 7,200万円 7~20年
環境・エネルギー対策資金 7,200万円 7~20年
社会環境対応施設整備資金 7,200万円 7~20年
企業再建資金 7,200万円 15~20年
食品貸付 7,200万円 ~20年
東日本大震災復興特別貸付 6,000万円 8~20年
平成28年熊本地震特別貸付 6,000万円 8~20年
平成30年7月豪雨特別貸付 6,000万円 15~20年
令和元年台風第19号等特別貸付 6,000万円 15~20年
災害貸付(追加融資) 3,000万円 元期間と同一
小規模事業者経営発達支援資金 7,200万円 8~20年
挑戦支援資本強化特例制度 4,000万円 5~15年

詳しい利用条件はこちら(国民生活事業融資一覧

日本商工会議所
制度名称 融資限度額 融資期間
マル経融資
(小規模事業者経営改善資金)
2,000万円 7~10年

詳しい利用条件はこちら(マル経融資の概要

全国信用保証協会連合会
制度名称 融資限度額 融資期間
小規模企業向け融資 300~8,000万円 7~10年
一般事業資金融資 ~4億8,000万円 7~10年
創業融資 3,500万円 7~10年
産業力強化融資 ~4億8,000万円 10~15年
経営支援融資 ~4億8,000万円 7~15年
企業再生支援融資 ~2億円 ~10年
災害復旧資金融資 ~8,000万円 ~10年
環境保全資金融資あっせん ~1億円 ~7年
流動資産担保融資 ~2億5,000万円 ~1年

詳しい利用条件はこちら(中小企業制度融資一覧

メリット・デメリット

公的事業資金調達の良し悪しを検討する男女
公的融資のメリット
  • まとまった金額を調達できる
  • 金利が安い
  • 長期的に無理なく返済できる

公的融資のメリットは、なんと言っても多額の資金調達を見込めるという点です。
さらに、民間企業に比べて金利が低いため、無理なく長期かつ安定して返済できるという点も大きなメリットと言えるでしょう。

公的融資のデメリット
  • 書類作成が難しい
  • 利用要件を満たさねばならない
  • 融資までに時間が掛かる

一方で、融資を受けるには綿密な事業計画と会計資料が必要になりますので専門家への依頼や事前すり合わせが必要となります。
民間企業からの借り入れでも同様のことが言えますが、公的融資は法律上の定めに従って可否が決定されますので、より柔軟性が低くなっているのです。
書類の準備・入念な打ち合わせを経るため、どうしても民間企業に比べて時間が掛かってしまう点は否めません。

〇と×が描かれた札を上げる女性
掲載した制度以外にも公的融資には様々な種類が存在しています。
民間企業には無い好条件が魅力ですが、その反面で難易度は非常に高い融資であると言えます。
専門家への依頼・事前相談等、しっかりと計画を立てた上で利用しましょう。
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監修者情報
木村 秀幸
ファイナンシャルプランナー2級・宅地建物取引士・行政書士・商簿記2級保持者。士業系事務所勤務の経験を活かし、数多くの金融系サイトの監修・執筆を手掛けた実績を持つ。