質屋での借入
また、リサイクルショップというイメージが強い「質屋」ですが、本来は物を担保にお金を借り入れる場所でした。
質屋で資金調達をする際のルールと注意点を深く掘り下げて解説いたします。
質屋とは
質屋は、ブランド品や貴金属などの買取の他、これらの品物を担保にお金を貸す「質入れ(質預かり)」という業務を扱っています。
例えば、老舗チェーンの「大黒屋」はブランド品を買い取ってくれるお店というイメージがありますが、昔ながらの質入れにも実は対応しています。
なお質屋と「古物商取引業」は全くの別物で、質屋は質屋営業法に基づく営業許可・中古品の売買のみを行う場合(リサイクルショップなど)は古物営業法に基づく営業許可が必要です。
したがって、比較的新しい買取ショップの場合、質屋営業は行わずに買取を専門にしているケースが多くなっています。
ただし、質屋への売却はメルカリなどのフリマアプリに比べて買取相場が著しく低く、買値よりも大幅に安い価格になってしまいます。
確実な返済できる見込みがあれば質入れの方が経済的な損失は少なくて済みますし、原則として審査も要りません。
価値のある物をお持ちの方は質屋のご利用を検討してみてはいかがでしょうか。
質入れのルール
質入れは、品物を担保にし、担保評価額の範囲内でお金を借りる資金調達法です。
前述した通り質屋は法令に基づいて運営する必要があり、管轄の都道府県公安委員会から許可を取らねば営業ができません。
貸金業よりも許可取得のハードルは低いものの、古物営業許可に比べると規制が厳しいという背景もあり、古物営業の許可のみでコッソリ貸し付けを行う業者も多いそうです。
なお、2010年の改正貸金業法の全面施行により、質屋営業も貸金業法と同様に年利15~20%の上限金利が適用されるようになりました。
この質利息の引き下げが質屋業を営む業者減少の要因でもあります。
消費者金融等との違い
質屋も消費者金融もお金を貸すことによって利益を得ておりますが、その違いは一体何なのでしょうか。
まず、質屋は消費者金融とは異なり利用者に対する審査がありません。
これは、消費者金融は「人」に対して金銭を貸し付けるのに対し、質屋は「物」に対して金銭を貸し付けるためです。
そのため、ブラックユーザーや収入の無い方でも利用することが可能であり、信用情報機関の照会をしないため過去の事故も問題とはなりません。
ただし、未成年は法律行為を単独で行うことができませんので、親権者の同意が必要になる点にはご注意ください。
返せないとどうなるか
質屋は、質屋営業法に則って営業しているため、貸金業法の規制である「信用情報機関へ登録」が不要です。
(総量規制対象外の借金として扱われますので、今現在いくら借りているかという点についても確認されません。)
つまり、万が一お金を返せなかったとしても信用情報機関に事故情報として記載されることはありません。
ただし、期日までに返済ができないと担保に入れた品物が没収(質流れ)となります。
通常の買取に比べて質入れは品物の査定額を低く提示されることが多いため、返済ができないと大損してしまう恐れがあります。
返す当てがない場合は、無理をせず「買取」を選択するようにしてください。
なお、質入れは店頭による現金貸付・現金返済が原則です。
期日までに店舗へ足を運べない場合も質流れになってしまいますので、普段足を運ばない場所での質入れは特に注意せねばなりません。
質屋の金利
質入れは借入した金額と期間に応じて利息を取られます。
年利ベースは消費者金融での借り入れの同一(15~20%)ですが、借入期間が短いため月単位で1~1.5%程度の利息しかかかりません。
さらに、利息制限法は各種手数料を考慮した実質金利が上限金利の基準になるため、利用料や査定料を取られることもないため安心です。
なお、消費者金融やカードローンは利息の日割り計算を行いますが、質入れの利息は月単位になるケースが多くなっています。(翌日完済しても1ヶ月分の利息が発生)
ただし、返済できなかった場合は預けた品物を失ってしまうという大きなリスクを負っています。
また、多額・長期借入には向いておらず、長い目で返済をお考えの方にはマッチしない資金調達方法と言えるでしょう。
監修者情報
木村 秀幸
ファイナンシャルプランナー2級・宅地建物取引士・行政書士・商簿記2級保持者。士業系事務所勤務の経験を活かし、数多くの金融系サイトの監修・執筆を手掛けた実績を持つ。
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