クレジットカード現金化はグレーゾーン?

クレジットカード現金化はグレーゾーンの資金調達法なのか

クレジットカード現金化は法的に問題ないのか、そこがはっきりしていない限り安心して利用できない、という方は多いでしょう。
仮に利用者側が摘発されることはないにしても、サービス自体が違法なのであれば気が進まなくなるものです。

いわゆる法律上の「グレーゾーン」に位置すると言われているクレジットカード現金化。
「グレー」とは一体どうゆうことなのか。よく理解した上で、あらためて現金化を利用するかどうかを慎重に判断しましょう。

サービスの概要と違法性について

クレジットカード現金化の概要と違法性

クレジットカード現金化というサービスの流れ、概要を簡単に説明しておきます。

利用者が持つクレジットカードのショッピング枠を利用して商品を購入(この商品は実態があるのかも不明)。

クレジットカード現金化業者(もしくはそこが提携している、とされる買取業者)が、カード決済で購入した商品を「買い取る」という名目で利用者に代金を振り込む。

結果として、利用者はカード決済をした金額のおおよそ70~80%くらいの現金が、即日で手に入る(ただし、翌月以降には当然ながらカード会社に決済した分を支払わなければならない)。

形式上は商品の買取という商取引を行っているように見えますが、それは偽装だと言えます。
実態は、高額な手数料をクレジットカード現金化業者が取った上での貸金、しかも回収のリスクはカード決済分を立て替えているカード会社に押し付ける形になっています。
さすがにこれは違法なのか。

結論を言うと、現状クレジットカード現金化は直接お金を貸し付けているわけではない以上、資金業法で法律的に罰せられる行為ではありません。
しかし、あくまでギリギリの脱法行為であり、貸金業法本来の目的と効力を失わせる非常に悪質なもの、とされています。

違法にならない理由

違法とされない根拠

ではなぜ、クレジットカード現金化は貸金業法に抵触しないのでしょうか。
それはやはり、「購入商品の買取」という商取引がある(ように偽装している)点にポイントがあります。

貸金は、直接的な業者と利用者間における、金銭の貸し借りのみで成り立ちます。
利用者が業者からお金を借り、決められた利息と期限に沿って返済していく、という単純な契約です。
もし業者が法定金利を超える利息を取っていたりすれば、貸金業法や出資法違反で処罰されることになります。

一方、クレジットカード現金化はと言うと、業者と利用者の間に一旦「商取引」が発生します。

本来は無価値と思われるどう見ても安物の指輪や、中にはその辺に落ちていそうな石ころを、10万20万もの値段の商品ということにして利用者に一旦売ります。
その商品に70~80%程度のキャッシュバックを付ける又は、提携していることになっている買取業者が買い取るという形を取って利用者に現金を渡すのです。

理屈の上では貸金ではない以上、貸金業法にも出資法も適用外、つまり違法性はないですよね?と言えます。
たしかに理屈ではそうなのですが、実際は当局から「実質的な貸金」とみなされて摘発されたクレジットカード現金化業者も過去に存在します。

カード会社の規約には違反することになる

カード会社は現金化を禁止

日本クレジット協会は平成22年4月1日、正式にクレジットカード現金化を認めないという声明を発表しています。
そしてその後も、クレジットカード現金化撲滅のPRを続けています。

クレジットカード会社にとっては、商取引があったかのように偽装され、正常な与信判断をする間もないまま未回収リスクだけを負わされるなど、到底は容認できないでしょう。
では、この「商取引があったかのように偽装する行為」は、現金化業者とその利用者の共謀によるクレジットカード会社に対する詐欺行為とはならないのでしょうか?

これについても、現状では詐欺罪で罰せられる可能性はあるとされながらも、実例はないようです。
現金化において取引される商品が本当に無価値なのか見分けること、そして初めから現金化目的での取引であることの証明が難しいことなどが、詐欺罪での告発にまで至らない要因となっています。

ただし、少なくともカード会社の利用規約に違反していること事実です。
発覚すれば利用者はカードの利用停止措置を免れないでしょう。

こういったリスクを回避するためにも、クレジットカード現金化の利用は慎重に検討すべきです。
違法ではないからと言っても、グレーである時点で利用したくない、という方もいるはずです。
そんな方は、他の方法で現状のピンチを凌ぐことを考えてみても良いでしょう。

心配な方は他の方法でピンチを切り抜けよう

3種類の債務整理

金銭的に苦しい状況は、放っておいてどうにかなるものではありません。
何かしら手を打たないと状況は悪化していきますし、かといって日々の支払いにも追われ考える暇もない…そんなときにクレジットカード現金化に頼りたくなる気持ちはわかります。

たしかに、クレジットカード現金化はその場のピンチを回避するのには非常に便利です。
ですが、これは問題を先送りしている以外の何物でもなく、ましてや法に触れるリスクすらある危険なこと。

もしどうしようもないところまで追い込まれてしまったのであれば、国が認めている方法を以って状況をリセットするのも一つの手段です。いくつかその方法を解説します。

任意整理

任意整理とは、弁護士または司法書士へ依頼して行う債務整理の一つです。
依頼した法律の専門家が、本人に代わって消費者金融やクレジットカード会社など債権者と交渉し、現実的に返済可能な額までの減額や利息の免除などを取り付けてくれます。
順調に手続きが進むと、以降支払う利息をなくすことができるため、それまでよりも確実に借金の返済が楽になります。

デメリットは信用情報、いわゆるクレヒスに傷が付くことです。
任意整理をした以後5年程度は様々な弊害が出るでしょう。例えばクレジットカードの新規契約、スマホの新規契約、ローン契約などはできません。

個人再生

任意再生をしても返済が難しいほどに借金が膨らんでしまっている方は、個人再生を検討してもよいでしょう。
個人再生とは、弁護士を通じて返済計画を作成し、それを裁判所が認可することで借金そのものを大幅に減額できる方法です。

この話だけを聞けば、任意整理より条件よいし選ばない理由がない、と思う方も多いでしょう。 しかし、個人再生をするにはいくつかの条件があります。

まず、定職についていなければいけません。計画に則って、毎月返済を続ける土台が必要、ということです。
次に、減額した上での借金額が100万円以上残っていることも条件となります。

このことから、100万円程度の借金なら任意整理(これくらいなら働いて返すことも充分可能ですが)、それを大幅に上回る額にまでなってしまった場合は個人再生、というように考えておけばよいでしょう。

ちなみに、個人再生をした場合も当然クレヒスに傷はつきます。

自己破産

こちらは弁護士のみが対応出来る方法です。司法書士には依頼できません。
借金を完全に・一気に無くせるのが自己破産の特徴ですが、代償として住んでいる家や車など、資産価値のある物はすべて手放さなければいけません。

とは言え、当面の生活費は手元に残せますし、生活に最低限必要なものは売却せずに済みます。
注意点としては、任意整理や個人再生と同じくクレヒスに傷がつき、生活に不便な場面が出てくる可能性があること。

そして、背負っていた借金に保証人が付いていた場合、自己破産をすると保証人に残額の請求がいくため、多大な迷惑をかけてしまうことです。
以上の点を踏まえた上で、自己破産に踏み切るかは考えなければいけません。

なお、自己破産をすると官報という国の機関紙に住所や氏名が公開されることになります。
一般人で官報を見る人はほとんどいないのであまり気にする必要はないですが、詐欺師や闇金業者がこうした情報を利用して忍び寄って来る可能性があるので注意が必要です。

グレーな現金化が流行した背景

クレジットカード現金化が流行した理由

そもそも法律のグレーゾーンに位置するクレジットカード現金化が、ここまで流行ったのはなぜなのでしょうか?

そこにはいくつかの理由がありますが、一番大きいのは消費者金融の衰退でしょう。
そこから派生して、過払い金請求の大流行も大きく影響したと思われます。

消費者金融の衰退

以前は足りないお金を工面するとすれば、消費者金融から借りるのが一番メジャーな方法でした。
しかし、あまりにも手軽に借りられることから利用者はどんどん増え、結果として多重債務者が多く生まれ、大きな社会問題となりました。

それを受けて、金融業界には総量規制が入ることとなり、それまでのように金融業者が貸すことも、また利用者が借りることも簡単にはできなくなってしまったのです。
金融庁発表の資料によると、消費者金融の貸付残高は2000年~2010年でおよそ50%減少しています。
2010年以降も衰退の流れは止まりませんでした。

その傍らでメガバンクを主体として銀行系カードローンなどが躍進するのですが、金利はそれまでの消費者金融に比べて安いものの、こちらも審査はやはり厳しいものでした。
すでにクレヒスに傷がついていて審査に通らない層の人たちが頼れるものの一つとしてひそかに流行りだしたのが、クレジットカード現金化だったのです。

それまでもクレジットカードを使って新幹線の乗車券などを買い、それを金券ショップで売却して現金化する、といった調達法は知られたものでした。
そこの手間を一手に引き受けて、電話一本で簡単に現金化できるようなサービスを提供する業者がどんどん増えていったのです。

過払い金請求の流行

一時期テレビで毎日のように「過払い金請求」のCMが流れていたことは記憶に新しいかと思います。
過払い金請求とは、利息制限法の上限金利を超えて支払ったお金を貸金業者から返してもらうための手続きです。

消費者金融が衰退したところに追い打ちをかけるように、この過払い金請求ビジネスは大流行しました。
弁護士を通じて過去のグレーゾーン金利分の差額を消費者金融に請求することができ、中には数百万円ものお金が返ってきた、という事例もあります。

もしかしたらお金が返ってくるかもしれない!と利用者は殺到しましたが、この過払い金請求はメリットばかりではありませんでした。

まず、過払い金請求をした相手方の金融業者の社内ブラックリストに登録されます。これは当然のことでしょう。
自分で当時の金利に納得して借りておいて、いまさら面倒なことを言い出す相手と今後取引はしたくない、ということです。

その金融業者からは強制解約され、以後新規借り入れやカードの発行はできなくなります。
金融業者間でそのリストが共有されている可能性もあります。
他の業者での審査もなぜか通らなかった、というケースもあるようです。

こうした人たちは新たな借り入れができないため、ふたたび借金をしたい場面になったときに困ることになります。
現在は、そんな事情を抱えた人がクレジットカード現金化に多く流れてきている、という背景もあるようです。

まとめ

クレジットカード現金化の安全性まとめ
  1. クレジットカード現金化は、いまのところ理屈上は違法ではないが法に触れる可能性は常に内在している。
  2. 利用者が摘発されたような事例はないが、詐欺罪に問われる可能性は0ではない。
  3. そしてカード会社の規約違反であることは間違いない。

結論をまとめるとこうなります。

法的にはグレーゾーンに位置しつつも、総量規制などの影響により急にキャッシングが出来なくなったような人達からの需要は依然として高く、利用する人も多いのが現状です。

捕まることはないだろう、と軽い気持ちで利用している方が大半だと思いますが、そこは慎重に検討するべきです。
もしも借金が膨らんで苦しいようであれば、任意整理・個人再生・自己破産といった法的手段に頼るのも一つの選択肢です。

どうしてもクレジットカード現金化を利用せざるを得ない、そうなったときにはせめて優良な業者を通じて行うようにしましょう。
現金化業者の中にも良し悪しは確実にあります。
そこで業者選びを間違えると、状況はさらに悪化するだけでなく、取り返しのつかないところまでいってしまう可能性すらあります。

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