クレジットカード現金化の違法性について
クレジットカード現金化を利用するか検討する上で、一番気になるのがその違法性について、という方は多いでしょう。
なにしろ、もしもそれが完全に違法であり、利用した場合に罰せられるようなことであれば一大事です。
ここではクレジットカード現金化がはたして違法行為となるのか、その真実に迫ります。
違法にあたるかどうか
結論をまず先に伝えます。
現在のキャッシュバック型クレジットカード現金化は、法律のグレーゾーンに位置しています。
法に触れる可能性はあるものの、それを明確に罰する法律は存在せず、実際にこれまで利用者が摘発された事例もありません。
つまり、現状はクレジットカード現金化を利用しても大丈夫、と言えるでしょう。
ただし、すでにグレーであるのは事実で、法の網をうまく抜けた違法貸金と同等、と問題視されている一面も持ちます。
今後の法改正次第では、グレーから一気に黒になる可能性がある点に注意が必要です。
なお、利用者側にはないと言いましたが、運営業者が摘発された事例はこれまでにもあります。
業者側が罪に問われる可能性
前述した通り、クレジットカード現金化は違法な貸金行為と同等、と見られ問題視されています。
ただし、それはあくまで悪質な業者が本来とるべき取引手順を怠るなどした場合に限ってのこと。
本来、クレジットカード現金化は利用者がカードで商品を購入し、その商品を買い取り業者が買い取る形で代金が振り込まれる仕組みです。
この商品買取の手順を省いてしまえば、それはただの貸金と見られても仕方ありません。
そうなれば、貸金業法や出資法に抵触する可能性がでてきます。
貸金業法違反(無許可営業)
繰り返しになりますが、クレジットカード現金化は、
① 商品を利用者がカードで購入
↓
② 業者が買い取り
↓
③ 代金を指定口座に振込
という買取取引を、ある意味偽装することによって貸金業法に引っかからないようにしています。
この取引は貸金ではなく、あくまで商品の買取をしているだけですよ、というわけです。
貸金行為をするには、その業者として特別な登録と許可が必要です。
その登録を行うには、貸金業務取扱主任者(国家資格)を配置することや、純資産を5,000万円以上用意するなど、厳しい条件が課せられます。
そして、現在知られているクレジットカード現金化業者は、いずれもこの登録を行っていません。
それもそのはず、そもそもクレジットカード現金化は「貸金行為」ではない、というのが建前だからです。
その証拠に、各業者の申込フォームにて、「当社が貸金業者ではないことを認識しているか」という確認が行われています。
クレジットカード現金化業者は、そのほとんどが「古物商の許可」しか取っていません。
この許可の下、商品の買取取引を行っている、というわけです。
しかし、杜撰な運営をしている悪質なクレジットカード現金化業者は、一連のやりとりを面倒くさがり、「商品の購入」や「商品の買取」といった事実がないまま現金を利用者に対して振り込みます。
その事実が発覚・確認されれば、貸金業法違反による摘発が行われることになるのです。
出資法違反
貸金業法の違反となった時点で、古物商のクレジットカード現金化業者ではなく、金融業者とみなされます。
クレジットカード現金化を貸金としてみた場合、例えば換金率80%で50万円のショッピング枠を現金化すると、利用者に渡される現金は40万円となります。
カード会社に支払う返済金額は当然50万円で、即日で20%もの利息を取られている、ということになります。
分割やリボ払いにすれば、返済額にも利息がかかるため、20%どころでは済まなくなります。
こうなると完全に法定利息(年で20%が上限)を超過している形になり、出資法違反となります。
実際、これまで摘発されたクレジットカード現金化業者は「事実上の金融業者」として、貸金業法および出資法違反に問われているところがほとんどです。
利用者が罪に問われる可能性
利用者がこれまでに摘発された事例がない、という話は100%罪に問われることがない、ということと同義ではありません。
可能性レベルで言えば、利用者が摘発されることは絶対にない、とは言い切れませんし、他にも厄介な問題をもたらす場合もあります。
詐欺罪・横領罪
いまのところ、クレジットカード現金化の利用者が摘発された事例はありませんが、詐欺罪や横領罪でカード会社から告発される可能性は0ではありません。
まず、利用者が50万円で商品を購入し、それをクレジットカード現金化業者が40万円で買い戻す、このような一連の現金化行為は横領罪に問われる可能性があります。
なぜかを説明します。
クレジットカードを利用して購入した商品は、その代金の支払いが完了するまではクレジットカード会社に所有権が帰属します。
つまり、それを勝手にクレジットカード現金化業者に転売することは、カード会社の所有物を勝手に売る、つまり横領と見られる可能性があるのです。
また、クレジットカード会社は一連の現金化行為をもちろん認めていませんし、むしろ行わないように注意喚起をしています。
それに反して最初から現金化を目的として決済を行うことは、意図的にクレジットカード会社から金銭を詐取する行為として、詐欺罪に問われる可能性もあります。
「あとで返すのだし、騙し取ったわけじゃない」
というのが、利用者の言い分かもしれません。
しかし、クレジットカード会社側からすれば、不当に未回収のリスク(クレジットカード現金化をする人は多重債務を負っている可能性が高く、未回収のリスクは通常より高い)を背負わされる許しがたい行為なのです。
過去にこれで利用者側が罪に問われたことはありませんが、今後そのような事例が出てもおかしくはない、という理屈です。
実際に利用者の大半が、違法性の意識を持っていないのが現状です。
また、違法性の自覚以前に、多くの利用者(需要)があってこの業界が成り立っている、という側面もあります。
貸金ではない、という建前から総量規制の影響も受けないため、消費者金融よりも手軽に利用しやすい、という現実があります。
自己破産の免責不許可事由になる?
クレジットカード現金化を利用する方の多くは、多重債務者です。
他で借りられなくなり、クレジットカード現金化でなんとかしよう、というパターンがほとんどです。
現金化で状況が好転する場合も稀にあるのですが、だいたいは支払いに追われて悪化します。
そうなると、自己破産も含めた最終手段をとらざるを得なくなります。
ここで注意しなければならないのが、破産法に「免責不許可事由」というものが定められていることです。
簡単に言うと、ギャンブルや浪費といったしょうもない理由で作った借金は、自己破産で免責できませんよ、というものです。
話を戻します。クレジットカード現金化はもともとカード会社から禁止されている行為ですから、それを利用したことで借金が増えたとしてもそれは自己責任であり、免責不許可とされる可能性があります。
違法性とはまた別ですが、こういった弊害が生まれる可能性もあることを肝に銘じておきましょう。
総量規制について
前項で出た「総量規制」という言葉についても、説明を加えておきます。
貸金業界における総量規制とは、「年収の3分の1を超える貸付を禁止する」というルールです。
これは、2000年代初頭の消費者金融全盛期を経て、多重債務者が激増したことが問題視され、敷かれた制度です。
これにより、それまでは消費者金融から借金をしていたのに急に借りられなくなった人も増えました。
新規の借り入れには収入証明や在籍確認も必須となり、いきなり審査が厳しくなったのです。
クレカ現金化には影響がない
この流れを受けて、クレジットカード現金化の需要は一気に高まりました。
クレジットカード現金化は建前上貸金ではないため、すでにクレジットカードさえ持っていれば総量規制の影響を受けずに誰でも利用できたからです。
仮に無職であれば、現在のルールでは一切借金をすることはできません。
しかし、ショッピング枠の残高があるクレジットカードさえ持っていれば、たとえそれがいくらであっても現金化はできます。
そして現金化利用後にはカード会社への多額の返済が待っています。
これでは、実質的に総量規制を敷いた意味がなくなっている、というのが問題視されている理由の一つです。
まとめ
クレジットカード現金化は違法ではないもののあくまでグレーゾーン、いつ風向きが変わって黒になるかもわからない際どいところを突いたものです。
利用者が罪に問われた事例はいまのところないとはいえ、絶対に安心とは言い切れません。
しかし、いまだにその手軽さ・便利さから需要は高く、利用者が多いのも現実です。
総量規制によって急に借り入れが難しくなった人にとって、クレジットカード現金化業者はありがたい存在である場合もある、というのも事実です。
法律の見直しをすることでグレーゾーンをなくし、白黒をはっきりさせていく必要があると言えるでしょう。