借入依存度とは?計算方法・目安・業種別の見方をわかりやすく解説
経理・会計
更新日 2026.08.24
借入依存度とは、会社の総資産に対して借入金がどの程度あるかを示す財務指標です。借入依存度が高い会社は、事業運営に必要な資金を借入に頼っている状態です。売上が安定している間は問題が見えにくいものの、入金遅れ、売上減少、金利上昇が起きると、毎月の返済や利息負担が資金繰りを圧迫しやすくなります。
ただし、単純に「高いから悪い」「低いから安全」と判断できるものではありません。業種、事業フェーズ、設備投資の有無、売掛金の回収期間、利益率などによって、適正な水準は変わります。この記事では、借入依存度の計算方法、目安、業種別の見方、高くなる原因、改善策を解説します。
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目次
借入依存度とは

借入依存度とは、会社の総資産に対して、金融機関などからの借入金がどれくらいの割合を占めているかを示す指標です。借入金依存度とも呼ばれ、企業が外部からの借入にどの程度頼って事業を運営しているかを確認するために使われます。また、将来的な返済能力や経営の独立性を客観的に判断するためにも使われます。
総資産は、会社が保有する現金、売掛金、在庫、設備、不動産などを含む資産全体です。そのうち、短期借入金や長期借入金などでまかなっている割合が大きいほど、借入依存度は高くなります。
借入依存度が高い会社は、毎月の元金返済や利息支払いの影響を受けやすくなります。売上が落ちたときや売掛金の入金が遅れたときに、返済資金を確保しにくくなる点に注意が必要です。
一方で、事業拡大や設備投資のために、一定の借入が必要になる場面もあります。借入依存度を見るときは、数値だけでなく、借入の目的、返済原資、利益水準、資金繰り表をあわせて確認することが重要です。
借入依存度の計算方法
借入依存度は、貸借対照表を見れば計算できます。基本的には、借入金を総資産で割り、100をかけて算出します。決算書を見ながら計算する場合は、短期借入金、長期借入金、社債などの有利子負債をどこまで含めるかを確認しましょう。
借入依存度の計算式
借入依存度の基本的な計算式は、以下のとおりです。
借入依存度(%)=借入金 ÷ 総資産 × 100
一般的な中小企業の財務確認では、短期借入金と長期借入金を中心に見るケースが多くなります。より厳密に見る場合は、社債や割引手形残高なども含めて判断します。
借入金に何を含めるかで数値が変わるため、社内で継続的に管理する場合は、毎回同じ基準で計算することが大切です。金融機関や専門家に相談する場合は、貸借対照表を見せたうえで、どの範囲を借入金として見るかを確認しましょう。
借入依存度の計算例
例えば、短期借入金1,000万円、長期借入金3,000万円、総資産1億円の会社があるとします。この場合、借入金の合計は4,000万円です。
計算式は以下のとおりです。
(1,000万円+3,000万円)÷1億円×100=40%
この会社の借入依存度は40%です。同じ借入金4,000万円でも、総資産が5,000万円なら借入依存度は80%になります。借入金の金額だけを見るのではなく、総資産に対してどの程度の割合かを見ることが重要です。
借入依存度の目安と業種別の見方
借入依存度の目安は、会社の規模や業種によって変わります。一般的には、30%以下なら比較的低め、50%を超えると注意が必要とされることがあります。ただし、この目安だけで安全性を判断するのは危険です。
製造業、建設業、運輸業、宿泊業、飲食業のように、設備投資や仕入れ、人件費の先払いが多い業種では、借入依存度が高くなりやすい傾向があります。反対に、固定資産が少なく、売掛金の回収が早い業種では、借入依存度を抑えやすくなります。
一般的な目安:30%以下は低め、50%超は注意ライン
借入依存度が30%以下であれば、借入への依存は比較的低い水準と見られることがあります。自己資金や利益の蓄積で事業を回せている割合が高いため、返済負担による資金繰りの圧迫も起こりにくくなります。
一方で、50%を超えると、資産の多くを借入でまかなっている状態です。毎月の返済額、支払利息、返済期間、金利上昇リスクを細かく確認する必要があります。
65%を超えると、金融機関から借入依存度が高いと見られやすく、追加融資の審査でも慎重に確認される可能性があります。ただし、あくまで目安であり、利益率、資金繰り、返済実績、業種特性によって判断は変わります。
高くなりやすい業種:製造業、建設業など
借入金依存度は業種別に見ることも大切です。製造業は機械設備や原材料の仕入れに資金が必要になりやすく、建設業は工事開始前に資材費や外注費が発生しやすい業種です。運輸業は車両や燃料費、宿泊業・飲食業は店舗設備や人件費の負担が大きくなりやすいでしょう。
こうした業種では、売上が伸びていても先に支払いが発生し、入金が後になることで運転資金が不足しやすくなります。その不足を借入で補うと、借入依存度が高くなります。
業種特性を無視して「何%なら危険」と断定するのではなく、同業他社、自社の過去推移、売掛金の回収期間、在庫量、利益率とあわせて判断することが重要です。
業種別の借入依存度について確認したい方は、以下の目安を参考にしてみてください。
業種別の借入金依存度(中小企業)
| 製造業 | 約32% |
|---|---|
| 建設業 | 約31% |
| 情報通信業 | 約21% |
| 運輸業、郵便業 | 約39% |
| 卸売業、小売業 | 約31% |
| 不動産・物品賃貸業 | 約50% |
| 宿泊業、飲食サービス業 | 約71% |
| 生活関連サービス業、娯楽業 | 約39% |
| 学術研究、専門・技術サービス業 | 約39% |
参考:中小企業白書 小規模企業白書 2025年版 「借入金依存度(企業規模別・業種別)」「借入金依存度(企業規模別・業種別) 」中小企業白書 小規模企業白書 2025年版 (00Hakusyo_zentai.pdf )を参考に作成
借入依存度が高いと起こりやすいリスク
借入依存度が高い会社は、返済負担や利息負担の影響を受けやすくなります。数字上は黒字でも、返済や支払いのタイミングによって手元資金が不足することがあるため、資金繰り表とセットで確認する必要があります。
毎月の返済負担が重くなる
借入金が多い会社は、毎月の元金返済と利息支払いが大きくなります。売上が安定している時期は問題なくても、入金遅れや売上減少が起きると、返済資金を確保しにくくなります。
返済が資金繰りを圧迫すると、仕入れ、外注費、給与、税金、社会保険料などの支払いにも影響します。借入依存度が高い場合は、返済予定表と資金繰り表を照らし合わせ、どの月に資金不足が起こりやすいかを確認しましょう。
追加融資を受けにくくなる可能性がある
金融機関による追加融資の審査では、借入残高や返済実績、利益水準、自己資本、資金使途などがチェックされます。このとき、借入依存度が高すぎると「これ以上の融資は返済リスクが高い」と判断され、追加融資の実行に慎重になるケースがあります。
特に、赤字が続いている、返済遅延がある、税金や社会保険料の滞納がある場合は注意が必要です。追加融資を受けたい場合は、借入依存度だけでなく、利益改善、返済計画、資金使途の明確化を進める必要があります。
金利上昇で利益が圧迫されやすい
借入金が多い会社ほど、金利上昇によって支払利息が増えやすくなります。変動金利の借入が多い場合、金利が上がると毎月の利息負担が増え、経常利益を圧迫します。
支払利息が増えると、利益が出ていても手元資金が残りにくくなります。借入依存度が高い会社は、借入残高だけでなく、借入金利、固定金利・変動金利の割合、返済期間も確認しましょう。
借入依存度が高くなる主な原因
借入依存度が高くなる原因は、単に借入額が多いことだけではありません。赤字補填、売掛金の入金遅れ、在庫や設備投資への資金固定など、資金繰りの構造そのものに原因があるケースもあります。
赤字や資金不足を借入で補っている
赤字経営が長期化している会社では、営業活動で生み出した利益だけでは支払いをまかなえず、不足分を借入によって補うことがあります。この状態が続くと、借入残高が増え、借入依存度も高くなります。
特に危険なのは、既存借入の返済資金を新たな借入で補う状態です。一時的には資金繰りを維持できたとしても、借入残高とそれに伴う返済負担が増大するため、将来的にはさらに経営を圧迫することになります。
売掛金(売掛債権)の入金が遅く運転資金が不足している
売上はあるのに資金が足りない会社では、売掛金(売掛債権)の回収サイトが長いことがあります。例えば、仕入れや外注費の支払いが月末に発生し、売掛金の入金が翌々月になる場合、入金までの空白期間を運転資金で埋める必要があります。
この不足分を借入で補い続けると、借入依存度が高くなります。売上拡大局面でも、仕入れや人件費が先行するため、運転資金不足が起こることがあります。
売掛金の管理については下記コラムで詳しく解説しています。
在庫や設備投資に資金が固定されている
在庫が多い会社や、設備投資が大きい会社では、資金が現金ではなく在庫や固定資産に変わります。売上につながるまで時間がかかると、手元資金が不足し、借入に頼りやすくなります。
設備投資そのものが悪いわけではありません。ただし、投資効果や回収期間を見込まずに借入で設備を増やすと、返済だけが先に発生し、借入依存度が高まりやすくなります。
借入依存度を下げるための改善策
借入依存度を下げるには、借入金を減らすだけでなく、利益を増やす、資金繰りを改善する、在庫や固定資産を見直すなど、複数の対策を組み合わせる必要があります。
利益を増やして返済原資を確保する
借入依存度を下げる基本は、利益を増やし、返済原資を確保することです。売上を増やすだけではなく、粗利率、固定費、販管費を見直し、手元に残る利益を増やす必要があります。
値上げ、低採算商品の見直し、外注費の再交渉、固定費削減などを進めることで、返済に回せる資金を確保しやすくなります。利益改善が進めば、追加借入に頼る頻度も下げられます。
返済計画や借換えを見直す
毎月の返済負担が重く経営を圧迫している場合は、返済期間や返済条件の見直しを検討しましょう。また、複数の借入がある場合、融資を一本化する「借換え」を行うことで、毎月の返済額や金利負担を抑えられるケースがあります。
ただし、単に返済期間を延ばすだけでは、最終的に支払う総支払利息が増えることもあります。必ず金融機関や専門家に相談し、資金繰り表を見ながら、無理のない返済計画を組み直すことが重要です。
売掛金(売掛債権)の回収を早める
売掛金の回収を早めると、運転資金不足を抑えやすくなります。請求書の発行タイミングを早める、支払いサイトを短縮する、前払い・着手金を交渉するなどの方法があります。
入金サイトが長い取引先が多い場合、売上が伸びるほど資金繰りが苦しくなることがあります。売掛金の回収条件を見直すことは、借入依存度を下げるうえで非常に重要です。
支払いサイトについては下記コラムで詳しく解説しています。
在庫・固定資産・不要支出を見直す
過剰在庫や使っていない固定資産が多いと、資金が固定化され、手元資金が不足しやすくなります。在庫回転率を確認し、売れにくい在庫を減らすことで、仕入れ資金や保管コストを抑えられます。
遊休資産や不要な設備がある場合は、売却やリース化も検討しましょう。総資産の中身を見直し、現金化しやすい資産の割合を高めることで、借入に頼らない資金繰りを作りやすくなります。
借入依存度を上げずに資金調達する方法

借入依存度を下げたい一方で、すぐに資金が必要になる場面もあります。その場合は、借入金を増やさない資金調達方法や、返済不要の資金、支払い条件の見直しを検討しましょう。
ファクタリングで売掛金を早期現金化する
ファクタリングは、保有している売掛金(売掛債権)をファクタリング会社に売却し、入金予定日より前に現金化する方法です。融資ではなく売掛債権の売買であるため、借入金そのものは増えません。
そのため、売掛金の入金前に資金が必要な場合、借入依存度を上げずに手元資金を確保する方法として検討できます。急な支払い、仕入れ、外注費、給与、税金などに対応しやすい点がメリットです。
ただし、ファクタリングには手数料がかかります。高額な手数料や、買戻し義務・償還請求権のある契約には注意が必要です。あくまで一時的な資金繰り改善策として使い、継続利用が前提になっている場合は、利益構造や支払い条件の見直しも進めましょう。
補助金・助成金を活用する
補助金や助成金は、融資と異なり原則として返済不要の資金です。設備投資、人材育成、IT導入、省力化投資、販路開拓など、目的に合う制度があれば、借入依存度を上げずに資金を確保できる可能性があります。
ただし、補助金は後払いが基本となるケースが多く、採択から入金まで時間がかかります。急ぎの運転資金には向かないため、短期資金はファクタリングや支払い条件の見直し、長期投資は補助金・助成金というように使い分けましょう。
支払い条件・入金条件を見直す
借入を増やさずに資金繰りを改善するには、取引条件の見直しも重要です。仕入先への支払いサイトを延ばす、取引先からの入金サイトを短縮する、着手金や前払いを導入することで、運転資金の不足を抑えやすくなります。
特に、売掛金の入金が遅く、仕入れや外注費の支払いが早い会社では、取引条件のズレが資金繰りを圧迫します。利益が出ているのに借入が増える会社は、支払い条件と入金条件を見直しましょう。
借入依存度に関するよくある質問
借入依存度について、よくある質問に回答します。
借入依存度は、借入金を総資産で割り、100をかけて計算します。
借入依存度(%)=借入金 ÷ 総資産 × 100
簡易的には、短期借入金と長期借入金の合計を総資産で割って計算できます。厳密に見る場合は、社債や割引手形残高なども含めることがあります。
一般的には、30%以下なら比較的低め、50%を超えると注意が必要とされることがあります。65%を超えると、借入への依存が高い状態として見られることがあります。
ただし、目安だけで判断するのは危険です。業種、利益率、設備投資の有無、返済計画、資金繰り表とあわせて確認しましょう。
借入依存度は業種別に見るべきです。製造業、建設業、運輸業、宿泊業、飲食業などは、設備投資や仕入れ、人件費の先払いが多く、借入依存度が高くなりやすい傾向があります。
自社の数値を見るときは、全業種の一般的な目安だけでなく、同業種・同規模の会社と比較することが重要です。
借入依存度が高いからといって、必ずしも融資を受けられないわけではありません。ただし、金融機関は追加融資の審査で、借入残高、返済実績、利益水準、自己資本、資金使途などを確認します。
借入依存度が高く、赤字や返済遅延、税金滞納がある場合は、審査が慎重になる可能性があります。融資を検討する場合は、資金使途と返済計画を明確にしましょう。
ファクタリングは、売掛金を売却して資金化する方法であり、融資のように借入金を増やす方法ではありません。そのため、会計処理や契約内容が適切であれば、借入金そのものは増えません。
ただし、ファクタリングには手数料がかかります。繰り返し利用すると、売掛金の入金を前倒しするだけになり、翌月以降の資金繰りが苦しくなる可能性があります。借入依存度を上げない方法として使える一方で、根本的な利益改善や支払い条件の見直しも必要です。
借入依存度が高いときは資金繰りと財務改善をセットで考えよう
借入依存度は、会社の総資産に対して借入金がどれくらいあるかを示す財務指標です。計算式は「借入金÷総資産×100」であり、会社がどの程度借入に頼って事業を運営しているかを確認できます。
借入依存度が高いと、毎月の返済負担、追加融資の難しさ、金利上昇による利益圧迫などのリスクが大きくなります。ただし、業種や事業フェーズによって適正水準は変わるため、数値だけで判断せず、資金繰り表、返済計画、利益率、売掛金の回収条件とあわせて見ることが大切です。
借入依存度を下げるには、利益改善、返済計画の見直し、売掛金の早期回収、在庫や固定資産の見直しが必要です。短期的に資金が必要な場合は、ファクタリングのように借入金を増やさず資金化できる方法も選択肢になります。
売掛金の入金前に支払いが迫っている方や、これ以上借入を増やしたくない方は、売掛金の内容、必要資金、入金希望日を整理したうえで、ファクタリング会社へ相談してみましょう。
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ファクタリングを利用して売上を前倒しで入金することにより、
借入じゃない資金調達をすることができます。
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