運送業×ファクタリング
売掛金を売却することでスピーディに事業資金を調達できるファクタリング。
建設業に並び、運送業を営む企業からファクタリングは高く支持されており、同ビジネスのメイン資金調達方法として年々需要が高まっています。
今回は、運送業のビジネスの特性をはじめ、ファクタリングを利用するメリット・マッチする理由やシーンについて解説します。
経営悪化の原因は
キャッシュフロー
運送業は、財務状況が悪化しやすいビジネスと言われています。
財務状況が悪化する原因の多くは「キャッシュフロー」が関係しており、安定した経営をする上では無視できないポイントです。
キャッシュフローが停滞する主な理由として以下が挙げられます。
突発的な出費が多い
運送業では長距離を移動するため、事故のリスクが高く、万が一事故を起こした場合には車の修理費・事故相手への見舞金などが発生します。
また、事故によってドライバーがケガをした場合は代わりのスタッフを確保せねばならず、運搬車が故障すれば新たに用意する必要も生じます。
これらは保険に入っていれば保険金で賄うことができますが、積み荷など補償の範囲外での支出が生じる可能性も否定できません。
特に運搬車は非常に高額であり、事故による補填だけではなく、車両買い替えや事業拡大を図る際にも多額のキャッシュを要します。
加えて、運送業は他業種に比べて入金サイトが長いビジネスです。
支払いサイトは30~60日程度が一般的ですが、運送業では90日以上掛かることもあり、資金難に陥りやすいと言えます。
燃料費の変動による影響
トラックは燃費が悪い上、長い距離を走行せねばなりません。
そのため、経費の中でも燃料費が占める割合は特に大きく、全日本トラック協会が令和3年3月26日に発表したデータによると燃料油脂費は営業費用の15.1%(2位)を占めています。(1位は人件費で39.7%)
さらに、ガソリンやオイルのほとんどは輸入品のため、為替(円安・ドル高など)や世界情勢によって価格は大きく変動し、高騰によって20%前後にまで上がるケースも珍しくありません。
なお、運送業は車両規模が多ければ大きいほど利益率が高くなるビジネスと言えますが、101台以上の運送業者であっても営業利益率は1~2%です。(平成28年~平成30年のデータを参照)
ガソリンがたった数円、高速道路の通行料が数百円値上げするだけでも、運送業を営む企業にとっては大きなダメージなのです。
さらに、運送業は下請企業に配送を再委託することもあり、子請け・孫請けは当たり前で中にはひ孫請けも存在しています。
再委託が多ければ多いほど中間マージンも増え、規模が小さい企業ほど苦境に立たされやすいと言えるでしょう。
業界全体の人材不足
大型トラックで運送をする場合、当然大型自動車免許を保有するドライバーが必要となり、新たに募集・雇用するにしても、育成するにしても多くの費用と労力を要します。
一方で、インターネットショッピングが当たり前となったことでドライバーの需要は年々高まりつつあり、多くの運送業者が慢性的な人材不足に悩まされています。
人材不足によって、募集費用が嵩んでしまう・一人一人の同労時間の長期化、延いては離職率のアップへと繋がってしまうなど、様々なデメリットを引き起こすのは言うまでもないでしょう。
さらに、給与や福利厚生の関係から人材は事業規模の大きな企業へと流れやすく、中小規模の運送業者にとって人手不足は非常に大きな問題なのです。
運送業にファクタリングが
おすすめの理由
冒頭でもお伝えした通り、ファクタリングは中小企業の新たな資金調達方法として人気を集めており、特に建設業や運送業を営む企業からの需要が高くなっています。
人気を集めている最たる理由が「振込までのスピード」ではないでしょうか。
長期借入融資の利息などに比べるとコストは高いものの、ファクタリングであれば前述した運送業の弱点を迅速に補えるため、重宝されているのです。
特に運送業ではキャッシュフローの悪化によって経営が傾き、「売上はあるのに経営が立ち行かなくなる」というケースが多く見られます。
そのため、つなぎ資金の調達として上手にファクタリングを活用することにより、より安定した経営へと繋がります。
具体的には、以下のような状況に陥っているのであれば、ファクタリングを検討する余地があると言えるでしょう。
キャッシュフローの一時的な悪化
上記の通り、運送業は様々な理由からキャッシュフローが悪化しやすい業種です。
「売上があるのに現金が無い」という状況であれば、売掛金の一部をファクタリングによって現金化し、キャッシュフローの改善を図ることができます。
ただし、ファクタリングは数ある資金調達方法の中でもコストが高めであるため、慢性的な資金不足を補う手段としてはオススメできません。
根本的な問題の解決を図る、銀行融資などの長期的な利用が可能な方法を選ぶなどの措置が必要でしょう。
繁忙期に備えるため
年末年始・お盆・引っ越しシーズンなどは運送業の繁忙期であり、一時的に仕事量や支出が増加します。
事前にキャッシュを余分に用意していたとしても、配送に携わるスタッフの急な退職や燃料費の高騰、事故に伴う出費、外注費の前払いなど、予期せぬ形で現金が枯渇する可能性は十分に考えられます。
繁忙期は1~2か月程度ですので、ファクタリングによって一時的にキャッシュを増やしておく・予期せぬ事態に備えるというのも一つの手です。
高額な設備投資をしたい
運送業は売上が入金されるのは2~3か月後と長めであるため、ビジネスチャンスを逃したくない・早急に事業拡大を図りたいというシーンであればファクタリングはおすすめです。
さらに、ファクタリングは債権さえあれば利用できるため、場合によっては数千万円乃至は数億円規模の資金調達も不可能ではありません。
事業拡大に伴うトラックの増台・事業維持のための修理費用・その他設備の新調など、運送業の設備投資は数百万円~数千万円かかることも珍しくありませんが、ファクタリングであれば対応できる可能性があります。
また、銀行融資は審査に1か月以上を要することがありますが、ファクタリングであれば最短即日で審査が完了するという点も大きなメリットです。
デメリット・リスクも
事前にチェック
ファクタリングは運送業とのマッチ度が高い方法と言えますが、ファクタリングはここ数年で人気が高まった比較的新しい資金調達方法であるため、利用者を守る法律がきちんと整備されていないという現状があります。
そのため、メリットだけではなくデメリットやリスクもしっかりと知った上で検討するようにしてください。
また、ファクタリング業には許認可が不要であるため、不当に高額な手数料を請求する悪徳業者・ファクタリングを騙るヤミ金業者などが後を絶ちません。
ファクタリングの基礎知識や手数料の相場を予め確認し、優良なファクタリング会社を選ぶようにしましょう。
メリット・デメリット