WEB申込み24時間受付中 お電話の方はこちらから0120-077-739

売掛金が回収不能の時の仕訳、経理処理の方法

何らかの事情、理由で売掛先から売掛金を回収できない事態に陥ることがあります。この時、適切な仕訳をすることで、経営上のリスク要因を軽減することが可能です。今回は、回収不能で不良債権化した売掛金の経理処理の仕方について解説します。

売掛金が回収不能になったら

回収不能な売掛金の仕訳

回収不能な売掛金がある場合「貸倒損失」という項目で仕訳処理を行います。貸倒損失で仕訳をすると、その費目は損金として計上でき、経費になりますが、計上できるケースが決まっているので注意してください。

貸倒損失として計上できるのは大きく分けて以下の3パターンです。

金銭債権が消滅している場合(売掛先の倒産や民事再生法の申請、債権者集会の開催等)
債権全額回収が不可能という見込みがある場合
売掛先との取引が停止し1年以上が経過している場合

詳しい仕訳表については以下を参照してください。勘定科目は「貸倒損失」ないし「貸倒金」とします。

事例1:売掛先のA社が倒産し、売掛金¥2,000,000の回収が不能になった

借方 貸方
貸倒損失 2,000,000円 売掛金 2,000,000円

事例2:売掛先のA社が倒産し、債権者集会で売掛金¥2,000,000のうち70%の切り捨てが決まった

借方 貸方
貸倒損失 2,000,000円 売掛金 1,400,000円

事例3:売掛先のB社との取引が停止し、未回収の売掛金¥1,000,000が残っており、2年間、再三再四、催促・督促しているのに支払ってもらえないので貸倒損失として計上する

借方 貸方
貸倒損失 999,999円 売掛金 999,999円

¥1を「備忘記録」として残します。

※備忘記録:¥1など極小の金額を帳簿に残すことです。この場合、B社の売掛金¥1が残り、決算書上、B社への売掛金があったことがわかるようになります。

売掛金の不良債権化を防ぐ方法

売掛金が不良債権化してしまうことを防ぐには、以下5つのポイントを押さえましょう。

与信管理の徹底
自社の営業から現場の生の情報を入手する
商業登記簿謄本を取得してチェック(法人のみ)
不動産登記簿謄本を取得してチェック
決済代行システムの活用

それぞれ具体的にどうすればいいのか、以下で詳しく解説します。

与信管理の徹底

与信管理、つまり取引先、売掛先が信頼できる相手かどうかを確認するのがまず大切です。怪しい企業にはできるだけ近づかないようにしましょう。

具体的には、HPの調査、四季報などのチェック、ネット上のうわさ、信用情報調査会社への依頼などを行います。不信なクライアントとの取引を削減する、売掛金のサイトを短くするなど、リスクをしっかり管理して、不意の債権回収不能リスクを抑えるようにしてください。

逆に自社の行状に疑いをもたれないようにすることも大切です。お互いが信頼できてこそ、相互の与信は強化され、安定した信用取引につながります。

営業からの情報

自社の営業はその業界や取引先(売掛先)について足と耳で様々な情報を得ています。ネット上や書類でわかる情報だけでなく、現場の生の声を掬い上げることで、売掛先の経営状況に関する情報を補強できます。

履歴事項証明書の確認

相手の会社(法人)の商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)を取得するのも有効です。履歴事項全部証明書(登記簿謄本)が取れなければ、法人登記のない偽会社ということになります。

また過去の役員の変遷や資本金の増減、業務内容の変遷などを見れば、一定の方針に基づいているか、行き当たりばったりなのかがわかります。

以下の項目が重要なチェックポイントとなります。

社名や本店所在地の頻繁な変更の可否
登記簿の事業目的欄の記載が現実の事業と合致しているか
資本金がHP等と一致しているか
役員構成に不自然な点はないか

不動産謄本の確認

商業登記簿謄本以外にも、不動産の謄本も取れます。不動産登記簿謄本は「全部事項証明書」を取ってください。例えば、自社ビルだと聞いていたのに社長本人名義、あるいは知らない第三者名義だった場合、経営を疑う必要があります。

昔からその土地にあるのか、バブル期に買ったのか、最近買ったのかで財務内容もある程度わかるはずです。バブル期購入ならば資産価値は減っているはずです。

また、抵当権の設定や共同担保の有無なども確認できます。抵当権が設定されていれば、売掛先の経営が悪化した場合、競売にかけられてしまうリスクもあります。また、抵当権数が多ければ、それだけ担保付きの借入をしているということになるので、経営状態がよくないこともわかります。

決済システムの活用

「決済代行システム」(決済システム)というものがあります。詳述はしませんが、売掛金が回収できなかった場合、代わりに支払いをしてくれる保険のようなものです。

有料になりますが、電子化されたシステムで、経理が楽なるのなど副次的なメリットもあります。リスクヘッジの1つの方法として考えてみてください。

決済代行システム例
https://www.robotpayment.co.jp/service/payment/function/b2b/guarantee.html

売掛金回収の方法

売掛金が回収できない場合、相手に支払いを求めることになりますが、いきなり訴訟というのは今後の取引にも影響してしまいます。法的手段は最後にし、順を追って売掛金の支払い請求をしていきましょう。一般的には以下の順で請求していきます。

1.電話での督促

2.内容証明付き郵便での督促

3.時効停止の準備

4. 少額訴訟(売掛金が60万円未満の場合)

5. 民事訴訟や民事調停(売掛金が60万円以上などそれ以外)

電話で催促する

最初は電話で丁寧に督促をします。ひょっとすると経理の人のミスで忘れているだけかもしれませんし、そこで先方も気付くかもしれません。あくまで穏便に紳士的に未入金について聞いてみましょう。

内容証明を送る

催促をしても支払いがされない場合、内容証明付き郵便を送ります。これは最後通告のようなもので、相手に誠意があればここで何らかのアクションをとってくれるはずです。

この段階になると、売掛先との今後の取引は(例え入金されても)難しくなることは覚悟してください。

時効中断の手続きをする

電話での督促では埒が明かない、内容証明にも返事がない、このままでは回収できないという判断に至った場合、訴訟が視野に入りますが、その前に時効中断の手続きをします。

売掛金にはその内容によって1年~5年の時効がありましたが、2017年の民法改正によって売掛金の時効は統一されました。2020年4月1日以降の売掛金契約の時効は以下になります。

債権者が権利を行使することができることを知った時から5年(新民法166条1項1号)
債権者が権利を行使することができる時から10年(新民法166条1項2号)
※民法改正後の時効:2020年4月1日以降に行われた契約

5年か10年となりますが、基本的に5年だと考えてください。

なお、2020年3月31日までに行われた売掛契約は当然有効ですが、その場合改正前の時効となります。契約日次第では、時効が迫っているかもしれません。回収できない売掛金の契約日を確認してください。

(民法改正前の時効:2020年3月31日までに行われた契約)

時効までの期間 売掛金の内容
1年 飲食代、宿泊費、運送費
2年 製造業・卸売業・小売業の販売代金、サムライ資格への報酬
3年 医療費、工事の設計、施行などの工事代金、自動車修理費
5年 上記以外の売掛金

「売掛金回収が厳しそう」と判断した場合、時効中断の手続きをしておくと、適当にあしらわれて時効になってしまうことがありません。

時効中断の方法は、以下のいずれかになります。

1 買主に対して訴訟を起こす
2 買主に対する裁判所による支払督促(本人による電話や内容証明の督促ではない)
3 買主に対する民事調停申し立て
4 債務残高確認書による買主の債務承認
5 買主の売掛金「一部弁済」

4、5は買主からの時効停止の意思表示でありあまり期待できません。裁判所を通す1~3のいずれかになるのが一般的です。

少額訴訟をする

最終手段として訴訟に踏み切ります。ただし、弁護士を立てての本格的な訴訟の前に、本人だけでできる少額訴訟というものがあるので、可能なら先にこちらを利用します。

60万円以下の売掛金の支払い請求を目的とする場合、簡易裁判所に訴えを提起することで少額訴訟が開始されます。 費用が安く期間も短い裁判で、原則1回の期日で審理が終了します。即日判決が言い渡されますが、立派な法的拘束力のある司法判断になります。

民事訴訟、民事調停

60万円以上の売掛金請求の場合、弁護士をつけて通常の民事訴訟を提起するか、裁判所による民事調停を申し立てます。

訴訟は完全に対立関係となりますが、調停はお互いの妥協点を探して裁判所による提案を受け入れる形になります。売掛金未払いには、やむにやまれぬことがあったのかもしれません。調停はそのあたりを斟酌する形になります。

資金調達BANK アクセルファクター