ファクタリング七福神の訴訟から見る給料ファクタリングの危険性

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ファクタリング

この記事の監修者

渡邉祐介先生

所属:ワールド法律会計事務所

 渡邉祐介

千葉県浦安市生まれ。
大学卒業後、システムエンジニアとしてIT企業に勤務。都市銀行、電力会社、自動車メーカー等を顧客とするシステム開発プロジェクトに関わる。

その後、弁護士に転身し、都内法律事務所での勤務を経て、2019年1月にワールド法律会計事務所を開設。
相続、不動産案件、中小企業顧問を中心に、一般民事まで幅広くリーガルサービスを展開。

2020年6月に通知税理士登録。

事務所HP:https://world-lao.com/qualified-persons/

新しい資金調達の方法として注目されるファクタリングですが、悪質な業者によってさまざまな事件に発展するケースも珍しくありません。

ここでは、大きくニュースになったファクタリング七福神の訴訟や逮捕について紹介します。

ファクタリング七福神とは

ファクタリング七福神は給料ファクタリング会社の中でも安い手数料で高い人気を誇りました

業界のパイオニア的存在として知名度が高く、利用者も多いファクタリング業者です。

ここではファクタリング七福神がどのような会社なのか紹介します。

なお、七福神のファクタリングは、法律に則って正しく運営している企業ファクタリングとは根本的に異なります。ファクタリングの基本は、『ファクタリングとは?仕組みを図解でわかりやすく説明』の記事で詳しくご説明します。

ファクタリング七福神の基本情報

ファクタリング七福神の基本情報は以下の通りです。

運営会社 株式会社 ZERUTA
代表者 足立 慎吾
資本金 500万円
設立 平成30年6月
所在地 東京都新宿区新宿1-34-8 近代BLD.15 7F

七福神は給料ファクタリング業者の中でも老舗で、手数料が業界内でも比較的安かったことから多くの人が利用していました。申し込んだ即日で資金を調達でき、日曜日や祝日にも利用できるといった高い利便性も強みでした。

公式Twitterもありました(2020年2月9日を最後に更新停止)。

七福神の公式ホームページ(現在は閉鎖中)では買取実績や利用者数の情報のほか、環境保全活動など社会貢献実績について掲載されていました。ファクタリング七福神の運営会社であるZERUTAは、企業向け情報雑誌等のメディアにも掲載されていました。

そのため信頼性が高い、安心して利用できると考えてしまう人が多かったようです。

ファクタリング七福神が提供していた給料ファクタリングの特徴

七福神が提供していたファクタリングサービスは給料ファクタリングです。

一般的なファクタリングは知っていても、給料ファクタリングは知らないという人もいるかもしれません。

ここでは給料ファクタリングの特徴がどのようにして受け入れられたのか紹介します。

手数料率が低い

給料ファクタリングを取り扱う業者は複数あるため、多くの場合は利用する前に比較をし、条件が良い業者を選びます。そのなかでも七福神が選ばれたのには、ほかの業者と比べて手数料率の低さがあげられます。

給料ファクタリングの手数料率の相場は30%~40%であることに対して、七福神の給料ファクタリングの手数料は10%〜20%とホームページ(現在は閉鎖中)に明記されていました。ファクタリングの利用を検討する人にとって、なるべく手数料は押さえたいもの。このことから多くの人が七福神を利用していたのです。

在籍確認がない

給料ファクタリングを利用する際にネックにとなる要素として在籍確認があげられます。給料ファクタリングを利用することを職場に知られたくないという利用者は決して少なくありません。

多くのファクタリング業者は勤めている企業に在籍確認を必須としていますが、七福神ではファクタリング利用時に在籍確認が不要でした。給料ファクタリングを秘密で利用したいという消費者にとってもありがたいシステムとして支持されました。

非正規雇用でも利用が可能

給料ファクタリングは借り入れではなく、給料を受け取る権利を売買します。そのため、多くのファクタリング業者では、パートやアルバイト、自営業者といった正社員以外は受け付けていないケースがあります。

しかし、七福神では正社員に限定せず、派遣、パートなどの非正規雇用や専業主婦でも利用することができました

ファクタリング七福神の訴訟と廃業

ファクタリング七福神はホームページは現在閉鎖しており、ファクタリング業から撤退しています。ここでは廃業に至るまでの経緯や訴訟についてまとめました。

2020年5月13日、436万5,000円の返還訴訟

原告となったのは2018年の12月から2020年3月にファクタリング七福神に給与債権を売却した男性ら9人です。原告側の主張は給与債権の買い取りと称して月数万円を貸付けて法定金利の上限109.5%を超える1409%もの金利を支払わせた背景があります。

利用者の中には、4万5千円を受け取った翌月に6万円を支払っていた例もあったそうです。原告側は計436万5,000円の返還を求めて東京地裁に提訴しました。七福神側は債権の買い取りであって貸金業ではないとしています。

金融庁は4月に「違法なヤミ金融」と指摘し、警視庁も同月以降、貸金業法違反(無登録営業)の疑いがあると警告していました。

関連記事:Yahoo!ニュース|給与買い取りは違法と提訴、大阪 損害賠償や返還請求

2020年6月1日 HP閉鎖・廃業

給料ファクタリングのトラブルは全国的に急増し、2020年6月1日には被害者1000人から七福神は訴訟提起されました。七福神のホームページは閉鎖となり、債権放棄通知で撤退したとみられています。

現在は七福神の公式Twitterと思われるアカウントのみが残った状態です。公式Twitterも2020年2月9日のツイートを最後に更新は停止されています。なおコメントへの返信もありません。

2021年1月16日 逮捕

給与ファクタリングを謳い、高金利の貸し付けを行っていたことから、出資法違反の容疑で七福神の社長である足立慎吾容疑者ら7人が逮捕されました。

延べ9万7,000人ほどに約50億円の貸し付けをして、違法な利息を得たと見られています。

関連記事:時事通信社|「給与ファクタリング」社長逮捕 高利貸し付け、13億円利益か―警視庁

給料ファクタリングの危険性

一般的なファクタリング業者は、企業の売掛債権を買い取ることで債権の管理回収を行います。給料ファクタリングで扱っているのは利用者の給与債権。給料日前に給与債権を額面額よりも安く買い取って、給料日には受け取った給料の全額を受け取るというものです。

ここでは悪質な業者が取り扱う給料ファクタリングの危険性についてまとめました。

>>給与ファクタリングとは?

給料ファクタリングは貸金業

借金や貸金と聞くと利用に不安を感じる人もいるはずです。しかし、給料ファクタリングと聞くと心理的な抵抗感が薄れるかもしれません。またファクタリング業者は「借金ではありません」「ブラックでもOK」といった誘い文句で利用者を呼び込んでいました。

しかし、金融庁の見解では業として、個人(労働者)が使用者に対して有する賃金債権を買い取って金銭を交付し、当該個人を通じて当該債権に係る資金の回収をおこなうことは、貸金業に該当するとしています。

つまり給料ファクタリングは貸金業登録を受けていない闇金融業者による貸金業です。年率換算すると数百~千数百%になる法外な手数料を支払わされたり、恫喝や勤務先への連絡といった悪質な取り立てを受けたりするリスクがあると金融庁も注意喚起しています。

またSNSやインターネットの掲示板で貸金業登録を受けていないものが、個人間での融資を装って違法な貸し付けをおこなう事案も発生しています。金融庁ではインターネットを通じて情報を集めるとともに、金融サービス利用者相談室を設けて相談を受け付けています。

逮捕事例も多数

2020年に入ってから給料ファクタリングを取り締まる動きが活発化しています。2020年3月23日の七福神に対する集団訴訟を皮切りに、5月13日の返還訴訟と続きました。

さらに同年5月22日、日本弁護士連合会の荒中会長は給料ファクタリングと称するヤミ金融業者が横行している問題について金融庁や警察庁など関係機関に対し、取り締まりの徹底を求める声明を発表しています。

同年7月には貸金業法違反(無登録営業)の疑いで、東京都の業者ら4人を逮捕されました。2020年に取り締まりが厳しくなった背景には、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で困窮する人を中心に利用者が急増し、法外な利息に苦しむ事案で相談が寄せられていることもあるようです。現在も金融庁や警察から注意喚起と取り締まりが続いています。

>>給与ファクタリングの違法性

法外な利息には特に注意が必要

給料ファクタリングは「貸金業ではない」としながら、暴利を請求するケースが珍しくありません。特に昨今の生活様式の変化により生活資金や事業資金に困窮している人は多く、取立被害は急増しています。

また、給料ファクタリングで高額の手数料を支払えば、本来受け取るよりも少ない金額しか手にすることができません。給料ファクタリングを利用することで一時的に生活が楽になったとしても一時的ことです。長期的には経済生活が悪化し、いずれ生活が破綻する恐れもあります。

国民生活センターも2020年の6月12日に「給与のファクタリングと称するヤミ金に注意!」という呼びかけを発表しました。給料ファクタリング業者はいずれも法外な手数料を要求することが特徴で全国各地で被害者が裁判に訴える動きが出ています。

もちろん企業向けの正しいファクタリングをおこなうファクタリング業者もあります。しかし、事件とは無関係な業者であっても、被害相談が寄せられるケースは少なからず存在します。もし利用を検討するのであれば、多方面から検討したうえで慎重に行うべきでしょう。

もし、企業向けのファクタリングに関心がある方はアクセルファクターのサイトをご参照ください。

>>企業向けのファクタリング

監修者からのコメント

渡邉祐介

渡邉祐介先生

一般にファクタリングの仕組み自体は広く活用されている資金調達法ですが、「給与ファクタリング」については、これまで数多くの取立て被害などが問題視されてきていましたが、裁判所により、実質は「貸付け」でヤミ金であるという判断がされ、ついに逮捕者も出ました。利用は控えるようにしましょう。