給料ファクタリングの仕組みとは?違法性と正しい業者の選び方

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ファクタリング

この記事の監修者

齋藤健博先生

所属:銀座さいとう法律事務所

齋藤健博

2015年慶應義塾大学法科大学院修了後、2015年司法試験合格、2016年虎ノ門法律経済事務所所属、その後2019年銀座さいとう法律事務所開設
弁護士 齋藤健博は、すぐにお会いして丁寧にあなたの話をお聞きします。「不倫」「浮気」「離婚」「男女問題」「セクハラ問題」「債権回収」を中心に、法律業務全般を取り扱っています。

事務所HP:https://ginza-saito.com

給料ファクタリングは、企業が売掛債権で行うファクタリングとは異なり、個人が給料請求をできることを基礎として行うファクタリングです。ファクタリングサービス自体は違法ではありません。法的には、債権譲渡と理解されます。給料ファクタリングは近年、悪質なサービス内容やその営業方法の違法性が取りざたされています。

給料ファクタリングとは

給料ファクタリングとは、個人が利用できる資金調達の方法の一種です。一見給料の前借りのようなイメージで、個人の緊急時の資金調達として注目されていますが、リスクが大きく違法性も疑われます。

実際、最高裁判所も、給料ファクタリングに関しては実質的には融資、貸金であると判断している判決が出され、違法な闇金であるとの評価が定着しています。

ファクタリングは、もともと企業が売掛債権を譲渡し、資金調達を行う方法でした。そんなファクタリングのシステムを個人の給料に活用したのが、給料ファクタリングです。相手が企業体であるのが特徴で、企業が倒産しない限り、支払いが確実にされてしまうリスクを負っています。

給料ファクタリングの仕組み

給料ファクタリングの仕組みは、企業の売掛債権によるファクタリングと変わりません。売掛債権の代わりに、給料(賃金債権)をファクタリング会社に売却して、個人が現金を受け取ります。

給料ファクタリングは、ファクタリング会社と利用者の2者間で行われるものです。そのため、利用者に給料を支払う会社に知られることはありません。会社からは利用者本人に給料を支払い、利用者がファクタリング会社に利用金額を支払います。また、申し込みや契約は電話や郵送、ネットを介し、金銭の受け渡しは振込なので、直接ファクタリング会社に出向く必要もありません。

企業のファクタリングでも手数料が発生しますが、個人の給料ファクタリングでもファクタリング手数料がかかります。利用者は賃金債権の譲渡によって手数料を差し引いた金額を受け取り、給料日に手数料を含めた金額を支払います。

給料ファクタリングに関する法律

給料ファクタリングは、勤務先の企業から受け取る給料という債権をファクタリング会社が買い取るサービスです。売掛債権のファクタリングは、法的にも認められ、企業に浸透してきていますが、個人の給料ファクタリングは法に触れる恐れがあります。

給料ファクタリングに関する法律として知っておきたいのが、労働基準法と貸金業法です。

労働基準法から見た給料ファクタリング

まず労働基準法では、給料は使用者が労働者に直接支払わなければいけないことになっています。そのため、給料ファクタリングで給料を買い取ることは実質的に不可能です。

そこで行われているのは、利用者が自分で給料を受け取り、業者へ手数料を含めた金額を支払う方法となります。債権を譲渡されたのであれば、業者から利用者に代金が支払われて終わるはずです。ところが、このように実質的には業者は利用者から金銭を回収しているため、給料ファクタリングの構造は「貸付」と見られます。

貸金業法から見た給料ファクタリング

給料ファクタリングは実質的に貸付と同じ扱いとなるため、貸金業法も関係してきます。貸金業法は、貸金業者の登録や金利の範囲などが定められている法律です。給料ファクタリングも、金融庁でも貸金業法の金銭の貸付に該当すると判断されました。

給料ファクタリングが貸付に該当するならば、業者としての登録や手数料についても貸金業法で定められたルールを守らなければいけません。給料ファクタリングを行う業者は、貸金業者として登録し、手数料は利息制限法第一条に規定する上限の範囲で設定する必要があります。

具体的には、借入金額に応じて年利15%~20%です。10万円までの貸付では年20%、10万円~100万円までは年18%、100万円以上は年15%が利息上限となります。

給料ファクタリングの違法性

給料ファクタリングは、労働基準法、貸金業法(利息制限法)の観点から、その違法性が指摘されるケースが増えています。個人が業者と取引するため、知識や経験のない人が利用して、騙されてしまうことも多いようです。劣悪なサービスを提供したり、利用者を陥れたりする業者によって、生活や仕事環境に支障が出る被害を受ける可能性もあります。

貸金業者として登録がない業者

給料ファクタリングは本来、貸金業者に当たります。貸金業を営む場合には登録を受ける必要があり、無登録の給料ファクタリングは基本的に違法です。

こうした違法にファクタリングを行うヤミ金融業者は、手数料が高額なケースや悪質な取り立てを行うケースも多くなります。違法というだけでなく、利用者が被る被害も大きく、さまざまなトラブルに見舞われる可能性もあります。

一時的には現金を手にできますが、思わぬ高額な手数料が余計に家計や資金繰りを苦しくして、経済的に破綻するリスクを高めます。また、悪質な取り立てによって会社に迷惑がかかったり、給料ファクタリングが周囲にバレたりすることもあります。

利息制限法の範囲を超える高利

給料ファクタリング業者でもう一つ大きな問題となるのは、法の範囲を超える手数料です。利息制限法では金利は15~20%の範囲で上限が設けられています。それを超える金利での契約は違法です。

ところが給料ファクタリング業者の中には、年利1000%を超える手数料を求める業者もいます。給料ファクタリング業者に限らず、利息制限法をオーバーした高利は無効であり、業者は登録の取り消しや業務停止命令などの行政処分の対象です。また、20%を超える利息で契約した場合、出資法で罰則の対象にもなります。

給料ファクタリング業者の逮捕事例

給料ファクタリング業者の違法なサービス展開は、すでに社会で問題視されています。目先の便利さに釣られて悪質な業者に関わらないためにも、違法な給料ファクタリング業者の逮捕事例を知っておきましょう。

全国初の摘発

給料ファクタリング業者の初の摘発は、大阪府で起こりました。2020年7月、その年の3月~6月にかけて無登録で給料ファクタリングとして貸付を行った疑いで逮捕されました。

コンサルタント会社「SONマネジメント」の社員である男女4人は、国や東京都の登録を受けずに、兵庫県の男性と新潟県の男性2名に約20万円の融資を行っていました。

コンサルタント会社「SONマネジメント」では、貸金業法の金銭の貸付に該当する方法でお客に現金を渡し、年利計算では630~1620%にもなる法定上限を大幅に超える手数料を受け取っていたようです。このため、貸金業法の無登録営業に加え、出資法違反容疑にも問われています。

【給料ファクタリング 出資法違反容疑で男ら再逮捕】

給料ファクタリングの被害にあったら弁護士に相談しよう

給料ファクタリングは、違法な営業を行っている上に、利用者を騙したり脅したりする悪質な業者も多いので、お金に困ったからと言って安易に利用してはいけません。その違法性を取り締まる動きも活発になり、実際に摘発される給料ファクタリング業者も出てきました。

給料ファクタリング業者への厳しい目は悪質な業者を減らす可能性もありますが、法の目をかいくぐって営業している業者はまだまだいるかもしれません。知らずに違法業者を利用してしまった場合には、弁護士に相談して対策を講じることが大切です。

基本的に、違法な金利部分は不当利得返還請求権と言って、過払いの部分に対する返還請求をする余地があるのです。今後はこの不当利得返還請求が、事業者ファクタリングなどにも展開されていく余地があります。

違法な契約や高すぎる手数料などは無効なので、泣き寝入りせずに解決を目指しましょう。無茶な取り立てや脅し文句なども、弁護士に相談することで止めることができます。

監修者からのコメント

齋藤健博

齋藤健博先生

給料ファクタリングは、直近の最高裁判所の判例でも示されていたように法的に許容される債権譲渡を超過している可能性が高い取引内容です。今後、法人向け事業者ファクタリングにも、手が入れられていくと考えています。給与ファクタリング業者と思われる懸念が生じた場合、利息制限法違反・貸金業法違反以上の利息に関しては返還請求できる可能性が極めて高い状況にあります。