新しいビジネスを始めたい、アイデアを形にしたいといった時にまず問題となるのが資金です。
アイデアはあっても起業の資金がなくて諦める人も少なくないでしょう。今回は事業資金を集める方法についてご紹介します。
起業時の資金調達の方法9選
起業時の資金調達というと、銀行からの融資をイメージする人は多いでしょう。しかし実際には、融資に限らない様々な方法があります。どのような方法があるのか詳しく解説していきます。
エクイティファイナンスによる資金調達
エクイティファイナンスとは、株主資本(Equity)を増加させる資金調達です。
例えば公募や株主割当増資といったものがエクイティファイナンスの代表例。企業が新株を発行して事業の資金を調達します。
エクイティファイナンスは金融機関を介することなく、直接投資家から資金を集めます。
金利の支払いや返済期限がないことが大きなメリットです。財務体質を増強するにも適しています。
エクイティファイナンスには、以下のような資金調達方法があります。
クラウドファンディング
クラウドファンディングは、群衆(Crowd)と資金調達(Funding)を組み合わせた言葉で、クラウドファンディングサイトを通して多くの人々から資金を募る方法です。
長年温めてきたアイデアを商品化したいと考えた場合、今までは借金や自己資金を使ってリスクを背負いながら起業するのが一般的でした。
一方で、クラウドファンディングは事業に賛同する、商品に魅力を感じる人から資金を集めるため、低リスクで起業できます。
クラウドファンディングには、支援した人へ金銭をリターンとして提供する投資型のほかに、商品やサービスを提供する非投資型があります。
クラウドファンディングの登場によって、世の中でどれだけの共感を得られるかが、資金の集めやすさにダイレクトに影響するようになりました。
クラウドファンディングを利用する際は、事業計画を綿密に立てるとともに、事業の魅力をアピールする方法も重要なポイントになります。
ベンチャーキャピタル
ベンチャーキャピタルとは、有望なベンチャー企業、スタートアップ企業に出資する金融機関を言います。
ベンチャーキャピタルは、株式公開前の会社に投資し、株式公開をサポートして、公開後に株を売却して値上がり益を得ます。
ベンチャーキャピタルには、銀行系や事業会社系、証券会社系のほか独立系の企業もあり、企業ごとに投資対象にする業種やステージが違います。
またハンズオンといって、ベンチャーキャピタルが経営者や現場責任者などを送り込み、積極的に経営支援をおこなうことがあり、関与する度合いは企業ごと異なります。
経営にかかわることなので、ベンチャーキャピタルから資金調達する場合には、慎重に決定してください。
エンジェル投資家
エンジェル投資家は、ベンチャー起業に投資する個人投資家を言います。
エンジェル投資家になる人の多くは、起業経験があったり、ビジネスに成功した事業者、富裕層です。
起業家を応援したいというモチベーションで出資しているので、利益追求を求めて投資するベンチャーキャピタルと比較すると、エンジェル投資家からの出資のほうが熱意や事業者のビジョンが重視されやすいでしょう。
エンジェル投資家は経営のプロでもあるため、経営のアドバイス、コネクションといった点でサポートしてくれる場合もあります。
近年は、エンジェル投資家とのマッチングサイトもあり、今後拡大が期待できる資金調達方法です。
デットファイナンスによる資金調達
デットファイナンスは、負債(Debt)による資金調達です。
借入や社債発行による資金調達をデットファイナンスと呼び、借入金融と呼ぶこともあります。
デットファイナンスは返済義務があるため、事業計画とともに返済についても考えておかなければいけません。
信用金庫から融資
信用金庫は、地域密着型で創業支援をおこなっていることが多い金融機関です。
長期的な付き合いを前提にして、地域貢献を目的に創業を支援しています。
付き合いがある取引先やビジネスパートナーを紹介してくれることもあるので、長期的にも心強い味方になるでしょう。
信用金庫を利用するには出資して会員となる必要があるので、まずはどのような手続きが必要か問い合わせてみてください。
銀行から融資
銀行からの融資は、できるだけ多くのお金を集めたい場合に有効な資金調達方法です。
銀行は審査が厳しい半面、融資を受けられればそれ自体が対外的な信用につながります。
メガバンクや大手銀行であれば、支店も全国にあるのでビジネス拡大期にも便利でしょう。
ただし、銀行が融資するのは付き合いのある企業が中心でです。ベンチャー企業や実績がない起業家では融資を受けるのは難しい場合が多いでしょう。
日本政策金融公庫からの融資
日本政策金融公庫は、国が100%出資している金融機関です。起業家を支援する目的の新創業融資制度があることでも知られています。
新創業融資制度であれば、無担保無保証で最大3,000万円(うち運転資金1,500万円)まで融資が受けられます。
民間の金融機関よりも金利も低めなので、長期的に資金調達したいという事業者にもおすすめの方法です。
審査を受けるためには創業計画書や資金繰り計画書が必要なので、不安がある場合には、まずは窓口かWebで問い合わせてみてください。
制度融資
制度融資は、都道府県などの自治体や金融機関、信用保証協会が連携しておこなう融資制度です。
もともと、中小企業や小規模事業者の資金調達をサポートすることが目的なので、利用条件が低めで創業したてでも利用しやすい点がメリットです。
固定金利で長期返済が前提なので、ゆとりをもって返済できます。制度融資は、地方自治体によっても条件が違います。
創業前に申請することもできるので、まずは経営相談を受けて話を聞いてみましょう。
家族・友人からの借入
家族や友人からお金を借り入れて起業資金に充てることもできます。
交渉次第では無利息で借りられたり、返済期限を待ってもらえたりと、融通を利かせてもらうこともできます。
ただし、家族や友人からの借入はトラブルがあった時に、話が大きくこじれてしまうことがあるため注意が必要です。
場合によっては金融機関等から借りるよりも面倒なことになるかもしれません。
家族や友人からの借入はリスクもあるので、慎重に検討するようにしてください。
創業補助金・助成金
創業補助金や助成金は、国や地方自治体が提供している支援制度です。
例えば起業家を支援する創業支援等事業者補助金もその一つ。
補助金や助成金を主催しているのは、経済産業省や厚生労働省、また地方自治体、民間団体や企業等です。
主催する団体によってサポートする事業や企業が違うので、自分の会社に合った補助金や助成金を選んで申し込みましょう。
毎年募集されている補助金・助成金もありますが、募集期間や必要書類が決まっていることが多いので余裕をもって準備してください。
なお、助成金は要件を満たしていれば基本的に給付される、補助金は予算や件数が決まっており条件に当てはまっても受給できない場合がある、という違いがあります。
起業時の資金調達方法のメリット・デメリットを正しく理解して実行しよう
起業時の資金調達方法にはそれぞれ特性があり、会社の規模や事業内容によって相性があります。
自社の状況、資金の活用方法、事業の成長ビジョンなど、長期的な視点で自社に合った方法を選んでください。
ひとつの方法に頼るのではなく、複数の方法を組み合わせて使うといった手段もあります。