中小企業の資金調達方法と現状の課題

中小企業の資金調達方法と現状の課題

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資金繰り

中小企業は、経営上の課題を抱えていることが多く、特に資金に悩んだことがないという企業は稀です。中小企業が経営を続けるため、成長していくために資金調達は欠かせません。

今回は、中小企業の資金調達方法と資金調達を成功させるコツ、課題について解説します。

中小企業の資金調達方法とその特徴

中小企業の資金調達方法とその特徴

中小企業の資金調達方法にはどのようなものがあるのでしょうか。中小企業に利用されることが多い資金調達方法とそれぞれの特徴を見ていきましょう。

金融機関からの借入

中小企業の資金調達と聞いて、まずイメージするのが金融機関からの借り入れでしょう。

2016年版の中小企業白書では借入がある企業のうち86%が「成長のための課題解決に必要な資金の調達先は金融機関だ」と答えています。

一切借入がない無借金企業は、内部留保や経営者の個人資産がメインの資金源ですが、そこまでの利益の蓄積がない企業やスタートアップの資金調達は、基本的に融資に頼ることになります。

銀行等の金融機関が中小企業に行う融資は、信用保証協会の保証付融資とプロパー融資です。

プロパー融資は一切の保証をつけない融資です。よほどの信頼がなければ利用できないため、基本的には信用保証協会の保証をつけて融資を受けることになるでしょう。

融資の種類として、証書貸付手形貸付のほか、当座貸越があります。

受取手形がある場合には、銀行に割り引いてもらう手形割引も利用を検討してください。

銀行以外だと、日本政策金融公庫のような政策金融機関が、地域経済の活性化のために中小企業にも積極的に融資をおこなっています。

資金の用途や自社が置かれた状況に合わせて、適切な手段を選びましょう。

資産の売却

保有している資産を売却して事業資金に充てる方法もあります。例えば、使っていない不動産等の遊休資産を売却する方法です。

不動産や自動車は保有しているだけでも管理や税金のコストがかかるので、処分すれば経費の削減にもなります。

さらに、保有している売掛金も売却が可能です。売掛金を買取する金融サービスをファクタリングと呼びます。

ファクタリングを使うことによって、売掛金を早期に現金化できるので、資金をより柔軟に活用できます。資金繰りが悪化しているときにも、売掛金を現金化すれば支払いに充当できるので、上手く活用すれば資金繰りに余裕が生まれるでしょう。

ファクタリングは、借入のように担保や保証人を用意する必要がなく、返却も必要ないことも大きなメリットです。負債が増えないため、貸借対照表のスリム化にも貢献します。

投資家からの出資

ベンチャーキャピタルや個人投資家からの出資を受ける方法もあります。あくまで株式を買ってもらう方法なので返済義務がなく、担保も保証人も必要ありません。ただし、出資によって株主の保有比率が変わるため、経営への影響が出る可能性もあります。

投資家は企業の新しいビジネスやサービス、商品に魅力を感じて投資します。そのため、投資家からの出資は信用力がなく銀行からの借り入れが難しい場合でも利用しやすい方法です。

なお、近年よく見られるようになったクラウドファンディングも、出資を受ける資金調達方法のひとつです。

中小企業を対象とした助成金・補助金の活用

国や地方自治体による助成金や補助金を事業資金に充てることもできます。用途は決められていますが、多くの場合返済不要です。

助成金や補助金は実施している団体や制度によって内容が全く異なります。中小企業支援やスタートアップ支援、地域活性化等目的が異なり、対象になる企業も違うので、どの制度が使えるのかまずは調べてみましょう。

補助金や助成金の多くは審査があり、スケジュールに合わせて申請する必要があります。必要な時にすぐ資金調達するのは難しいかもしれませんが、上手に活用すれば資金繰りにゆとりが生まれ、事業投資等がしやすくなります。

中小企業の資金調達の課題とは?

中小企業は資金調達手段が少ないわけではありませんが、実際に活用できる方法となると選択肢が狭まります。中小企業の資金調達が抱える課題は以下の通りです。

中小企業は借入が難しい

1990年代から現在まで中小企業の資金調達構造は変わりつつあります。バブル崩壊から90年代後半にかけて、国内銀行から企業への融資額は大きく落ち込んでいます。

日本銀行の「全国企業短期経済観測調査」によると、バブル崩壊後、大企業の資金繰りは2000年代前半まで回復基調にありました。リーマンショックの影響で再度落ち込みはしましたが、回復してきています。

中小企業の資金繰りも回復を見せたものの、残念ながら大企業ほどの回復は見られず、金融機関からの借り入れも厳しい状態が続いています。

中小企業の中でも資金調達の必要性が高いのは、成長初期の企業です。事業を軌道に乗せる、研究開発を進めるためには資金が不可欠です。

しかし、成長初期は実績がなく、社会的信用が低いため資金調達が困難。担保になるような不動産や設備もないことが多いので、担保型の融資も受けられません。

創業してすぐは赤字経営であることも多く、金融機関もリスクが高いと判断してしまいます。資金調達先を確保できないままに、事業を断念するケースも少なくないのです。

参考:日本銀行

直接金融による資金調達も厳しい

借入を使った資金調達が難しければ、社債や株式による直接金融の資金調達が視野に入ります。しかし、知名度がない、商品やサービスが浸透していない中小企業へ資金援助しようと考える人はそうは見つかりません。

ベンチャーキャピタルや投資家も、今後大きな市場になると予想できるケースや、ビジネスとして有望と判断できるアイデアや技術を持つ企業にしか投資はしません。

成長が著しいベンチャー企業、新しいアイデアがある企業でもないと、直接金融による資金調達も現実的には困難です。

中小企業が資金調達を成功させるためのコツとは?

中小企業が資金調達をする場合には、いくつかのプランを用意してシミュレーションしておくことが大切です。中小企業が資金調達を成功させるためのコツを紹介します。

資金調達の方法について十分な下調べをする

資金調達をするときの大前提として、十分な下調べは必須です。まずどういった資金調達方法があるのか、それぞれの特性を理解してください。融資ひとつをとっても様々な種類があります。

例えば不動産を担保にする融資のほか、事業評価をベースにする融資、信用保証協会の保証に基づく融資などがあり、また、金融機関もメガバンクと地方銀行、信用金庫それぞれに特徴があります。

金融機関が企業を評価する尺度は様々なので、企業ごとに適した融資も異なります。まずは資金調達方法に関する理解をしっかりと深めましょう。

自社に最適な資金調達先を検討する

自社に適した方法でないと、資金調達ができない、または将来的に資金繰りや経営に負担がかかってしまうことがあります。

例えば充分な利益がでるのに時間がかかるビジネスプランの場合、融資を選択すると返済が負担となって経営が困難になる可能性があります。

また株式を発行する場合も、発行数によっては自社の経営権に影響してしまうでしょう。

自社がどのようなビジネスをしているのか、どのような成長モデルを選ぶかよく考え、最適な資金調達方法を検討・選択しましょう。

自社の魅力・強みを伝えるためにも「事業計画書」を作成しておく

融資や出資を受ける際、自社やビジネスの魅力を印象付ける工夫は大切です。

金融機関やベンチャーキャピタルなどは、ひとりの担当者が複数の企業を担当していることが多いため、自社が他社よりも有望であると印象付ける必要があります。

そこで、自社の事業やビジョンを明確に伝えるための事業計画書を作成します。

事業の概要や起業の動機、経営理念といった要素も重要ですが、事業計画書に説得力を持たせるためには数字で示すことが大切です。また、担当者が知りたいであろう外部環境や内部環境についても説明します。

実現性や成功確率が伝わるように工夫して、ロジカルに自社の魅力や強みを伝えましょう。

継続的に情報を開示する

金融機関や出資者とは、長期的な付き合いになります。資金調達するときだけでなく、継続的に情報を開示しましょう。

経営者はネガティブな情報は隠したがりますが、融資や出資をした側は支援している立場として、事業の進捗に関する定期的な連絡が欲しいと考えます。

たとえ進捗が芳しくなかったとしても、情報を開示して相談を繰り返すことによって、信頼関係が構築されていきます。

事業の経過を伝えていれば、再度資金調達が必要になった場合もスムーズに話が進みやすくなるでしょう。

本当に資金調達をする必要があるのか資金不足の原因を改めて見直そう

中小企業が資金不足を解消するためのアプローチは、資金調達だけではありません。

無駄な支出を減らすことも資金確保のために重要な手段です。日常業務のプロセスや役員報酬などを見直してください。

また、キャッシュフローにも注意を払います。特に最大限事業に投資している企業は、手元に現金を残していないケースが多く、緊急時に使用できる資金が少なくなってしまうことがあります。

最悪の場合黒字倒産にもなり得るので、ある程度の現金は手元に置いておくようにしましょう。

中小企業の資金調達まとめ

中小企業が採れる資金調達方法は様々ですが、大企業に比べて資金調達自体の難易度が高いという現状があります。

それゆえひとつの方法にこだわるのではなく、様々な選択肢を検討し、自社に合った資金調達をピックアップしましょう。

資金調達を成功させるために、まずは資金調達方法に関する理解を深め、自社の強みをアピールできる事業計画書を作成してみてください。